パイパン、ブラジリアンスタイル、ハイジニーナ……時代の流れに合わせて、言い回しこそ変化すれど、陰毛を処理する女性が増えつつあるのは紛れもない事実のようだ。しかし、この流れに「待った!」をかけたいと願う男性も少なくない。ここでは、女性の陰毛復活を願ってやまないという、陰毛支持者の声に耳を傾けてみよう。
そもそも、オトコとはギャップに弱いものである。「メガネを外すと実は美人」「見た目はギャル系なのに実は料理上手」などの外見的なギャップと同様に、「かわいいコの陰毛がボーボーだと興奮する」という、容姿と下半身のギャップに萌える男性も存在するのだ。しかし、ボーボーといっても限度があるだろう。例えば、かの有名な楊貴妃は、陰毛が足まで届くほど長かったという言い伝えがあるが、一般的にそんなにも長い陰毛は求めていないはずだ。では、いったいどの程度のボーボー具合が好ましいのか、陰毛支持者に聞いてみたところ、「下着からはみ出すくらい」「後ろの方まで生えているのがベスト!」など、陰毛に対して寛容な意見が多く聞かれた。エステや除毛剤に大金を費やしている女性たちにとっては拍子抜けする結果と言えるだろう。
だからといってエステを解約したり、陰毛処理を放棄してしまうのは、ちょっと待っていただきたい。陰毛支持者が萌える”ボーボーの陰毛”とは、あくまでも容姿端麗な女性に的を絞った場合が多い。そう、彼らは何も、ボーボーの陰毛自体にフェチズムを見出しているわけではなく、「かわいいコの陰毛がボーボーだと興奮する」というギャップに対して興奮しているのだ。実際、彼らに「では、一般的な容姿の女性は、陰毛がボーボーだとNGなのか?」と尋ねると、「オーラルセックスの際、邪魔にならない程度の処理はしておくべき」と口をそろえる。男心は複雑だ。
処理の度合いについても尋ねてみた。今はやりのハイジニーナのように、全くの無毛が好ましいのかというと、そうでもないようだ。「生えている場所に全く生えていないことに抵抗を覚える」「明らかに生えている年齢(成人)なのに、ツルツルだと違和感がある」「男としてはリアルな性器が見たい」など、無毛に対する評価は意外と低い。また、エステや除毛剤などを用いての正当な処理法は別として、ハサミなどによる自己処理あとで下着の布地からツンツン飛び出している陰毛に萎えた、という男性や、恋人同士で剃毛プレイに臨んだ際は大いに盛り上がったが、盛り上がったのは初回のみで、それ以降は何とも思わなかった、と証言する男性も。
また、無毛状態はフェロモンを感じさせなくなってしまう、という説もある。ワキや陰部からの汗のにおいは、異性を惹きつける要素のひとつであり、陰毛はそれを染み込ませる役割も担っているという考え方だ。つまり、無毛状態だと、異性を惹きつけるためのフェロモンが流れ落ちてしまうことになるのだ。そう考えると、陰毛は全くの無毛状態でない方が良いのだろうか? このへんで、女性側の意見も聞いてみよう。
「性行為の際、男性に対して、陰毛があることが恥ずかしい」「性行為とは関係なく、陰毛があること自体に抵抗がある」など、羞恥心から陰毛処理に踏み切る女性が多いということがうかがえる。そういった女心は十分に理解できるのだが、私自身の個人的な見解としては、その処理のためにエステなどで他者に股間をさらすということに羞恥心を抱いてしまう。いや、正確に言うとその羞恥心は、同性に股間を見られるということに対しての羞恥心なのだ。もっと言ってしまうと、異性なら構わない、という結論に至る。『施術スタッフは全員女性ですので安心してご利用いただけます』などのうたい文句を見るたびに、「男性スタッフがいれば……」と、エステデビューを断念し、自ら毛抜きで除毛するという、原始的な方法を取らざるを得ない日々が続いている。同じものを付けている同性に施されるよりも、全く別の生物である異性に施される方が気がラク……という私のような人も、少なからず存在するのではないだろうか。
今後、ハイジニーナ女性向けの除毛サロンの開設を検討中の起業家の方はぜひ、男性施術師の育成にも目を向けていただきたい。むろん、クリアしなければならないハードルは決して低くはないであろう。しかし、意外な需要が期待できるかもしれない。
(文=菊池 美佳子/ブログ「マンゴージュースと黒あわび」)
菊池美佳子(きくち・みかこ)
1977年3月17日生まれ。岩手県盛岡市出身。AB型。左利き。21~29歳まで舞台女優の傍ら、キャバ嬢・テレフォンセックス嬢・企画物AV嬢としても活動。29歳で引退後、アダルトライターへ転身。
ギャップ萌え~