大津波だけでなく、福島第一原発から放射性物質が漏えいしたことにより、未曾有の被害をもたらしている東日本大震災。発生から2週間以上たったものの、いまだ収束する気配はなく、事態の推移を日本国中が見守っている。そんな現状を連日各マスコミが伝えているが、パニックに陥っているのは報じる側にとっても同じこと。経験したことのない大災害に、聞こえてくるのは取材陣の不手際ばかり。
「やはり震災に強いNHKが、視聴率はもちろん内容も群を抜いていました。民放各局が大スポンサーの東京電力に気を使い、御用学者の解説を垂れ流すなか厳しい指摘をしていました。株を落としたのがフジテレビ。安藤優子キャスターが現地から迫真のレポートをしていましたが、実はヘリコプターで入り、滞在時間はわずか1時間弱。『何も知らないくせに』と現地のマスコミから大ブーイングを浴びていました。また管首相が会見を開いた際にも、『なんか笑えてきた』と女性の声が交じり、『秋元優里アナの発言では』とネットを中心に炎上するトラブルに発展。後日、上層部から事情聴取があり本人は完全否定したそうですが、犯人が誰かという話ではなく、スタッフの緊張感が欠如した事例といえるでしょう」(マスコミ関係者)
もちろんフジに限った話ではなく、各マスコミが戸惑っているのが実情だ。
「30キロ圏外は安全と報じながら、自社の取材陣には40キロ圏内への立ち入り禁止令を出すテレビ局もありました。困窮している地域の現状について言及しながらも、自ら現地入りすることにはストップが。早々と圏外に逃げ帰った媒体もあったほど。万が一マスコミが自衛隊の活動の妨げになってはまずいという判断も分かりますが、住民が不信を募らせることとなったのは間違いない。地元のテレビや新聞社では被曝を恐れ、現地入りを拒否をする者も続出しています。放射能を感知するガイガーカウンターを携帯させる社もありますが、初めから腰が引けまくっていては宝の持ち腐れでしょう」(前出・マスコミ関係者)
一方、内容はともかく軒並み好調なのが各週刊誌。”震災特需”と揶揄するむきも少なくないが、編集部も活気づいているという。
「”放射能がくる”のあおり文句が批判された『AERA』(朝日新聞出版)ですが、結果はバカ売れ。『週刊文春』(文藝春秋)、『週刊現代』(講談社)も首都圏ではほぼ完売状態で、他誌も通常と比較し大幅に部数を伸ばしています。各誌競い合うように展開していたセックス特集は、さすがにしばらく自粛するようです」(週刊誌記者)
政府だけでなくマスコミも、その姿勢を問われている。
過去を振り返り一度考えてみよう。