『イカセま10 現役人気ブロガーに10日ブッ続けで媚薬を使い生殺しにしてみました。』
一昔前、ちょいとエッチな雑誌で、「この薬を飲ませるだけで意中の女性はイチコロ」などと謳っている広告を目にしたことがあるだろう。ただ飲ませるだけで、人を淫靡な気持ちにさせる薬”媚薬”は、まさに誰しもが求めて止まない秘薬ではある。だが、万人に効果があるとされる薬の存在は確認されていない。限りなくないだろうと分かっていても、人間の性欲とは昔より罪深きもので、催淫効果があると信じられていた食べ物が多数伝わっている。今回はそんな古代から伝わる食べ物を紹介していこう。
まずは、西洋料理では最高級とされるロブスターだ。過去の外国文学者たちが、情欲を刺激する効果が高いと記した作品が多数残っている。有名どころではイギリス文学の父とまで言われるヘンリー・フィールディングもそのひとりで、彼の代表的著作『トム・ジョーンズ』には、ロブスターを食べることで催淫効果があることを匂わせる記述が存在している。ロブスターは、海の生き物ゆえ、海の泡から生まれた愛の女神アフロディーテのパワーが宿っているとされるそうだが、ならば秋刀魚や鰯にも同様の効果が認められてしかるべきだが……。”ロブスターゆえ”という記述は見当たらない。
同じ海から生まれた女神のパワーを受け、人を淫靡にさせる効果があると言われるのがカキだ。海のミルクと称されるほど、栄養価が高くタンパク質、タウリンなどが豊富に含まれているため、精力が高まり、催淫効果もあると言われる。そんなカキの催淫効果を信じていたと伝えられる人物が、ジャコモ・カサノヴァだ。自伝『カサノヴァ回想録』にて1,000人の女性と同衾したと記し、1700年代にプレイボーイとして名を馳せていた彼は、カキを「心と愛を高める食べ物」とまで表現している。彼の1,000人切りという偉業を成し遂げるためには、欠かすことのできない食べ物だったのであろう。
フランスの英雄ナポレオン・ボナパルトや女流作家ポンパドール夫人などは、トリュフ催淫説信奉者だったという。世界三大珍味のひとつに数えられる、高級食材のトリュフは、成分の半分が水分である点とタンパク質に富む点がカキにも似ており、同じ効果が期待できたのではないだろうか。また、フランスの古いことわざには、「高潔な生活を送りたければトリュフを食べるな」ということわざが残っているほど、効果は信じられていたようだ。
意外なところでは、トマトも人間を淫らにすると信じられていた。トマトは、元々南米原産の食物だったが、ヨーロッパの探検家エルナン・コステロの手によりヨーロッパにもたらされ、トマトがリンゴよりも赤い果実をつけることからヨーロッパキリスト圏の人々は、旧約聖書のエデンの園から持ち込まれた禁断の果実なのではと考えたという。加えてアダムとイブが、禁断の果実を食べた後に性的恥じらいを持ったという伝承も手伝い、性的な刺激作用があると信じられ、トマトには今でも「ラブアップル」との称号が与えられているそうだ。
近い年代では、アメリカのカラフルなチョコレート菓子、M&Mの緑色の粒に性欲を高めるという噂があった。残念なことにM&Mを作っているマーズは一切を事実無根と発表し、噂を全否定している。しかし1996年には、コメディアンが緑色のM&Mのキャラクターに扮し、「緑の噂はホント?」と少女に尋ねるという、一歩間違えれば少女との淫行を誘発していると見られかねないCMを作成している。さすが、アメリカというところだろうか。
過去から現在まで、多様な食べ物に催淫効果があると信じられ、噂されていた。ここに紹介したものはほんの一部、あくまで伝説ということをお忘れなく。しかし、ものは試しと一度、意中の女性と前菜にトマトサラダ、トマトスープにメインディッシュはロブスターとカキのトリュフソース沿え、デザートにM&Mのチョコレートなどを食し、効果の程を自身で試してみても良いのではないだろうか?
(文=南 はにわ)