長年、男たちを悶々とさせている疑念のひとつに「ヤリマンは本当に実在するのだろうか?」というものがある。下心丸出しの誘いに乗ってくる、なんなら向こうから誘ってくる、そんな女性が本当にいるならば、なんだか明日から希望に満ちた生活を送れそうな気がするのだ。
その答えになる? かどうかは分からないが、自他共に認めるヤリマンが、自らの奔放な性生活を赤裸々に綴るブログが存在する。それが『鬼畜!ヤリマン道場』。ヤリマンであるブログの主は龍堂薫子さん、33歳。同ブログは2010年12月の文学フリマをきっかけに同名の自費出版本としても発行されている。そして、この本がとにかく面白い! 近所のコンビニからの帰り道、反対側の車線に車を停めて休憩しているタクシー運転手を逆ナンしたり、外国人からナンパされているところを助けてくれた男性の家に行ったら、その男性の体に明らかにオシャレ目的ではない刺青があったり、恋心を抱いていた男性と偶然ハプニングバーで鉢合わせしたり……。龍堂さんのアグレッシブに性を追及する姿、それに伴うドラマチックな展開、現れる多種多様な男たち、にわかには信じがたい出来事がこれでもかと詰め込まれている。龍堂さんがどうしてヤリマンになったのか、その経験をなぜブログという形で発表しているのか、直接お会いしてお話を伺うことができた。
──ブログは2008年10月くらいから始められているみたいですけど、どうしてブログという形でご自身の経験を書こうと思われたんですか?
龍堂 ナンパについて行ったり、逆ナンしたりすることであまりにも面白いことがたくさん起きて、そういうことを話せる友だちもそんなにいなかったので、「誰か、聞いて!」って。女性の読者から「私も同じようなことしてます」みたいなリアクションがほしかったんですよね。そういう友だちができたらいいなと。でも「私もヤリマンです」って人は現れなかったですけど(笑)。
──そもそも龍堂さんがヤリマンになったきっかけは何だったんですか?
龍堂 会社にいた好きな人にやり捨てされたことがきっかけで開き直っちゃった感じです。
──そこでスイッチが切り替わるみたいにガラッと変われたんですか?
龍堂 最初は酔っぱらってオープンな気持ちになってっていうのが多かったですね。普段は知らない人とはそんなに話せないし、ましてや逆ナンなんてできません。あと、私、ちょっと不眠症ぎみで、眠りが浅いと寝惚けたまま出かけちゃうんです。それで知らない人について行っちゃう。
──それってすごく危険な気がするんですけど。
龍堂 危険なことはとくにないですよ。たまに無理矢理ホテルに連れ込まれそうになったりしますけど、周りに人もいるので。でも危ないのかな(笑)。
──と思います(笑)。この人にはついて行く、この人はダメ、みたいな基準があるんですか?
龍堂 お世辞を言ってくる人が苦手で、声をかけてくる時点で下心はあるんだから、「かわいいと思って声かけました」とか「黒髪、似合ってますね」とか言われても面倒くさい人なんだろうなって思っちゃいますね。単刀直入に言ってくれたほうがついて行きやすい。ルックスとか年齢とかは別に気にしない、感じが良い人、面白そうな人ならついて行きますよ。
──本の中にはハプニングバーもよく出てきますけど、何をする場所なんですか?
龍堂 目的によっていろいろですけど、カップルで来てスワッピングしたり、ほかの人とはしたくないけど見られたいって人がいたり、3人でしたいって人もいるし、縛りの練習をする人もいるし、単純に常連で飲みに来ている人もいます。
──そこで好きだった人と偶然鉢合わせしたんですよね?
龍堂 そう! びっくりですよ! その人はほかの女性に連れてこられていて、もうショックで。お店には個室があって、マジックミラーで仕切られているので中が見えるんですよ。その人と別の女性がそういうことをしているのを一部始終見ちゃいましたから。今となっては面白い思い出なんですけど。
──そんな経験、普通できませんよ(笑)。自分から逆ナンしたり、ハプニングバーに行ったりっていうのは、何を求めての行動なんですか?
龍堂 もちろん性欲っていうのもありますし、寂しいからっていうのも全然無いわけではないですね。でも、後半は「どんだけヤレるか」みたいな。友だちに話すための……、
──ネタですか(笑)。
龍堂 そう! 数と面白さを競うみたいな。
──そういう経験をしてきて、女性はヤリマンであるべきだと思いますか?
龍堂 思いますね。面白いことが起こるし、したいことはしていいって思ってしまえば気持ちが楽になるし。それに好きじゃない人が相手だと本音で言いたいことが言えるんです。知らない人だからこそ出せる部分というか、ちょっと格好悪いかな、恥ずかしいかなってことも。
──もう会わないと思っちゃえば。
龍堂 そう。あと、知らない人としてるほうが興奮するんですよ。気持ちいいかは別ですけど。あんまり親しくなりすぎてしまうとエロの気持ちにはなるなくなるので。
──それはなんとなく分かる気がします。最後に、結婚とかって考えますか?
龍堂 あー、考えますね。今、好きな人がいて、ほかの人とは遊んでないんですよ。そんなこと今まで無かったんですけど。だからヤリマンであるべきだとは思うんですけど、それはそれで経験として、手遅れになる前に結婚はしたほうがいいと思い始めてます(笑)。
ヤリマン・龍堂薫子に聞く! ヤリマンの見分け方(経験則)
●ひとりで飲んでいる女
「基本的にお酒が好きな女の人はヤリマンの可能性が高いですよ。駅前でナンパなんかするよりは、居酒屋とかバーでひとりで飲んでる人に声をかけたほうが成功率はいいんじゃないですかね」
●洋服にお金をかけない女
「ギャルっぽい人よりは地味な人のほうがヤリマンだと思います。洋服より飲み代とか、あとは化粧品なんかにお金を使うんですよ」
●椎名林檎を歌う女
「ヤリマン友だちがみんなカラオケで椎名林檎を歌うってことに気が付いたので、断言できます。椎名林檎を歌う人は間違いなくヤリマンです。歌詞とかに、”ビッチなアタシ”みたいな憧れもあるのかな、後付ですけど(笑)」
(取材・文=ユハラヨシフミ)
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