いま、日本で一番湯水のように金を使える団体とも目される宗教法人、幸福の科学。2009年の衆院選では、「幸福実現党」から擁立した337人の候補者全員が落選し、10億円を上回る損失を出したものの、大川隆法代表が「そんなゴミみたいな金……」と吐き捨て、話題をさらった。
そんな幸福の科学が今月発売した子ども向け商品が、トレーディングカードゲームの「ワールドゲイナー」(幸福の科学出版)。ナント、「実在の宇宙人が登場する世界初のカードゲーム」を謳っているのだ。そこで、1,500円を自腹でお布施し、ごくごく一部で話題のこの「ワールドゲイナー」を、卓上ゲームマニア歴10年以上の友人と遊んでみた。
ゲームの内容はというと、手持ちのカードから強いカードを選んで「デッキ」を作り、相手の宇宙人と自分の宇宙人を戦わせるというオーソドックスなものだが、勝敗を決定する主な要素が「じゃんけん」であるなど、 「遊戯王」や「マジック・ザ・ギャザリング」などのすでに流行しているカードゲームに比べると、どうしてもゲーム性の低さが目立ってしまい、好事家向けの域は出ない。
イラストにも高級感がなく、登場する宇宙人の名前も「火星人~ニワトリ型~」など地味なため、コレクション性に欠ける。まるで、ドラマ『TRICK』(テレビ朝日系)の小道具のような作りだ。特徴的なのは、すべての宇宙人カードに、大川隆法の著書による解説を引用していること。おそらく、このゲームを通じて、子どもたちに「幸福の科学」の世界観を教えるのが目的の商品なのだと思われる。
卓上ゲームマニア歴10年以上の男性曰く、
「想像はしていましたが、ゲームとしてはスッゴクつまらないです。説明書にはルールがすべて書いてないなど、不親切だし。でも、独特の世界観という意味では◎ですネ」
とのこと。
ちなみに、この「ワールドゲイナー」のレアカードは、12月2日に発売された幸福の科学出版のムック「日本人だけが知らない宇宙人とUFOの秘密」に、付録としてついてくるそうだ。また、今後同社から発売される雑誌・書籍等に、「ワールドゲイナー」の新しいレアカードが付録となる可能性も。つまるところ、「ワールドゲイナー」を極めたいプレイヤーは、幸福の科学の書も買ってね、というシステム。何とも分かりやすい。
なお、「マジック・ザ・ギャザリング」や「ディメンション・ゼロ」は、高額賞金が獲得できる世界大会が開催されたことが、ヒットに火を点けることとなった。それもあってか、前出の友人は、
「幸福の科学のやることだから、近いうちに賞金総額1億円の大会が開かれるに違いナイ!!」
と意気込んで、ワールドゲイナーの必勝法を研究し始めたようだ(幸福の科学出版のムックも買うのだろうか……)。
さて、ウォッチャー的に気になる「科学」関連の動向としては、2010年4月についに開校を迎えた「幸福の科学学園」の創立がある。「ワールドゲイナー」は軽いお遊びだとしても、設立わずか24年で私立学校まで作ってしまう資金力には驚嘆するばかりだ。
あらゆる手を尽くし、金に糸目をつけずに、子どもたちへの布教をガンバる幸福の科学。零細企業に勤め、雀の涙ほどの給料で酒代とタバコ代をやりくりする末端労働者としては、その景気の良さがうらやましいばかりである。
(文=代々木アカオ)
※記事内容について、事実関係に誤認がありましたため、加筆・修正致しました。
脅威と好奇、なるほど。
好事家向きの品