連日連夜、メディアを騒がせている告発サイト「Wikileaks」。米国の機密公電が流出し、その中には、世界の指導者を内密にこき下ろすモノも多数含まれていたということから、一大スキャンダルの様相を帯びてきた。イタリアのベルルスコーニ首相は「無能」、ドイツのメルケル首相は「創造力に欠ける」など、アメリカの本音があらわになってしまった今回の流出事件。米国の外交力に与えた損害は計り知れない。
もっとも、ベルルスコーニやメルケルの場合には、あくまで米国外務省の担当者の所感に過ぎないが、世界的に有名なある指導者に至っては、Wikileaksを通じて、世界的にプライベートを暴露されるハメになってしまった。
その指導者とは、1969年の革命以来、リビアの最高指導者として君臨する、カダフィ大佐。「大リビア・アラブ社会主義人民ジャマーヒリーヤ国」という、崇高な理想を謳ったなが~い名前の国を、40年以上のなが~くにわたって支配している、国際政治の最長老のひとりだ。
冷戦期には数々のテロ事件に関与し、またかつては核開発にも積極的だったことから、「砂漠の狂犬」ともあだ名されていた同大佐。これまでも、自宅で回転ベッドを利用していたり、美人の女性兵士だけを集めた近衛兵団を作っていたりなど、イスラムの戒律と照らし合わせても「う~ん」な所業が西側メディアにすっぱ抜かれているが、このたび明らかになったのは、30歳年下の38歳のウクライナ人ナース、ガリーナ・コロトヌィツカとの関係である。 漏洩した公電によると、カダフィ大佐は、「金髪でセクシー」なガリーナと”恋仲”にある可能性が高いという。(画像:http://www.oyetimes.com/news/africa/7697-wikileaks-muammar-al-qadhafi-and-his-ukrainian-nurse-galyna-kolotnytska)彼女が入国できない場合には自分も外遊しないと米国側に宣言しているとのこと。御年68歳を迎えてなおお盛んなようだ。
ウクライナは、旧ソ連の主要な構成国のひとつ。冷戦下ではソ連は、リビアなど反イスラエルで結束する中東諸国の後ろ盾として機能しており、関係は良好だった。ただし、連邦崩壊後には、経済難のために多くのウクライナ人が出稼ぎのために出国。芸能業や風俗産業のために海外に出た若いウクライナ美女も多くに渡り、ソ連崩壊時に20歳前後であった件のガリーナ女史も、そんな中のひとりなのかもしれない。だとすれば、かなりの大物を仕留めたガリーナは鼻高々に違いない。
また、カダフィ大佐といえば、世界の首脳の中でも奇行で有名。ニューヨークでの国連総会に参加する際には「遊牧民の伝統を守るため」という理由から、なぜか公園にキャンプを張ったり(もちろん、自国では豪邸に住んでいる)、途上国支援のための断食パフォーマンス中に突如500人のイタリア美女を集めたパーティーを開催したりと、その行いは世界の注目を集めている。独裁者とする評価もあるが、石油による収入を分配する政策のためにリビアの国民生活は比較的豊かであり、国民の間では一定の支持を集めているようだ。 ちなみに、漏洩したカダフィ大佐に関する他の公電には、「大佐は変人だ」という報告もある。これはかのオバマ大統領も、「知っとるワ、そんなん」で済ませたことと思われる。
(文=タコ野パウル)
『カダフィ正伝―誕生から革命秘話、そして激動の半生を初めて語る』
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