2010年、AV界でブレイクしたのは芸能人ばかりではない。大沢美加ちゃんを始め、麻倉憂ちゃん、小倉奈々ちゃんなど正統派美少女の人気が一気に盛り返し、長きに渡り続いてきた美熟女人気を抑え込んでしまうほどの勢いを見せた。正統派美少女と言っても、90年代初頭の黄金期の女優たちとその特徴は大きく違っている。彼女たちの特徴は、可愛い顔してヤルことはヤル。過激とも思えるプレイを苦にするどころか、気持ちよ~く楽しんでしまうのだ。
そして、そんな美少女たちに名を連ね2010年に一気にブレイクしたのが、このましろ杏ちゃんだ。デビューは09年だが、専属拘束が解けた10年に真の実力をめきめきと発揮。Hカップ爆乳を武器に、コスプレから若妻までさまざまなジャンルで活躍を見せた。
そんな彼女の真価がもっとも発揮されたのが、この作品だ。『青春エロドラマ オレのアネキとヤラないか?』シリーズの第12弾。本来ならば、苛められっこの弟が悪友たちに強請られて、スタイル抜群の姉をお布施代わりに差し出してしまうというM属性の高い作品。しかし、今回の話は真逆。シチュエーションこそ同じだが、杏ちゃんの役どころはM姉ではなくドS姉。しかも、とことん過激!!
物語は、テニスとオナニーとあんぱんが大好きな杏ちゃんが、弟の連れてきた偽テニスコーチ(正体は弟の悪友とその兄貴)に、セクハラ特訓を受けるというもの。恥ずかしがりながらもセックスの快感にハマってしまうという展開になるのがいつものパターン。ところが杏ちゃんは、そんな偽コーチたちのセクハラを受けるや、隠していたエロ脳が暴走。『もっと私を気持ちよくしなさいよ』と、本能を露わに顔騎。美尻を突出し高圧的に男達に命令し始めてしまうのだ!
驚くべきは、この急展開を仕組んだのは杏ちゃん自身ということ。後日談として杏ちゃん本人に聞いた話だが、撮影中に「このお姉さんは、いつまでもおとなしく責められてるはずありませんよ!」と監督に提案し、杏ちゃんの提案を面白いと感じた監督は、それまでの台本を急遽破棄。演者たちによるアドリブプレイに突入したのだというのだ。
「たまに役柄が降臨しちゃうんです……えへへ」
そう話してくれた彼女。なるほど、そう聞いてから鑑賞すると、”受け”から”責め”に転じた時の強烈とも思える急変ぶりも納得できる。セックスを楽しみ尽くそうとするスケベな顔と、怖いほどの迫力。これはたしかに演技ではない。これこそ、彼女の魅力そのものだと感じた。
演じるだけではAV女優は務まらない。人気の裏には、本気でエロを楽しみ味わい表現しようとする、生身の女性の欲望が詰まっているのだと実感した。この意味を、ぜひ、この作品から感じて頂きたい!
(AV評:文月みほ)
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