言わずと知れたSF映画の古典として不動の地位にある『スター・ウォーズ』が公開されたのは1977年だった。当時、映画館でスターウォーズを”体感”した30代半ば以降の世代にとって、監督であるジョージ・ルーカスの名前は、盟友スティーブン・スピルバーグと共に、映画がまだ娯楽の王様でいられた頃の最後の輝きを持ったものとなった。
あれから33年。いまだその人気はとどまるところを知らず、『スター・ウォーズ』の壮大な世界観を世界中の作家たちが表現した画集『スター・ウォーズ アート:ヴィジョンズ』(Star Wars ART
:Visions)が11月、ついにアメリカで発売された。
参加アーティストは100名近く、日本でも人気の高い「キングダム・カム」のAlex Ross、フランス、バンド・デシネの最重要人物であるMoebius、Enki Bilalなどそうそうたるメンツが名を連ねる。この「世界中の作家」の中には当然日本の作家も含まれており、ファイナルファンタジーのビジュアルアーティストとして有名な天野喜孝、美少女ゲームなど所謂萌え系イラストレイター西又葵、マクロスなどのキャラクターデザインの美樹本晴彦の3人が参加している。”技巧とキャリア”での人選であれば、寺田克也、桂正和、大友克洋、荒木飛呂彦など日本には世界的に認められたアーティストたちも多いが、それらを差し置いて異質と言える西又葵氏の参加は、OTAKU絵がアメリカで「COOL」だと思われていることと無関係ではないのだろうし、この幅広さがこの画集の懐の深さと面白さにつながっている。
「スター・ウォーズ」という映画、SFの歴史を作った壮大な物語をテーマに、作家のインスピレーションを起点としたオリジナリティ溢れる貴重な画が掲載された「スター・ウォーズ アート:ヴィジョンズ」は、現在amazonなどで購入可能だ。もちろんこれは洋書だが、テキスト部分は、序文や作家プロフィールなど少なく、内容も高校レベルの英語力で読めるものなので、英語が苦手な人も是非。
個人的には、【日本、イラスト、スターウォーズ】と来れば当然、生頼範義(おうらい・のりよし)や三田恒夫(さんだ・つねお)のイメージが強いが、ドリュー・ストラザンやラルフ・マッカリー、ジョー・ジョンストンも入っていないところを見ると、ルーカスフィルムの公認アーティストは参加できなかったのかもしれない。
(文=MAS)
*文中作家敬称略
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