小向美奈子が主演、ヌードで緊縛撮影に挑んだとして、この夏話題の映画『花と蛇3』。1974年に谷ナオミ主演で映画化されてから、今作で実に8作目となる。それほど多くの人々に愛されてきた作品だ。これまでも、さまざまなSMプレイや官能的シーンが描かれてきたが、今作では”内面への調教”という要素を取り込み、よりいっそう淫らで魅惑的な世界が描かれている。
イタリア帰りの新進チェリストにして、才気溢れる美貌の持ち主・静子を演じる小向はもちろんだが、彼女を禁断の快楽へと目覚めさせる重要な存在……それが、火野正平の演じる”鬼源”だ。表向きは、夫を亡くした静子が新たに嫁ぐ先となった屋敷を取り仕切るクールな執事。だが実は、緊縛師として静子を調教していくキーマンなのである。
荒縄調教・利尿剤注入・強制放尿・屋外での緊縛露出・拘束全裸レズ……。日々繰り返される激しい調教に、静子は羞恥心を揺さぶられ、いつしか欲望を解放されていく。その過程で描かれる何とも言えないエロティックな名シーンの数々……これは小向の相手が「百戦錬磨」の火野正平だからこそ、生み出すことに成功しているのかもしれない。スクリーンからにじみ出る色香は、明らかに小向だけのソレではないからである。
また、火野と言えば、数々の女性と浮名を流してきた稀代の色男。今でもモテる男を例えて「平成の火野正平」などと揶揄されることがあるほどだ。最近の「若いモノ」は、草食系男子だセックスレスだと言われ、恋愛や性に消極的だとされているが、こんな現代社会をどう見ているのか!?
そこで8月28日の映画『花と蛇3』公開を前に、本人を直撃した。
──『花と蛇3』を拝見して、かなり官能的な仕上がりだと感じました。火野さんから見て「ここが見どころだ!」というシーンを教えてほしいのですが。
火野 実はまだ、完成した作品を見てないんだよ。まあでも、見たとしても、俺は役者であって、手に取れる商品を売ってるわけじゃないから、なんとも言えんなあ。見て楽しいか楽しくないかは、観客に判断してもらいたいわな。
──では、火野さん自身が演じていて、「このシーンはエロい!」と思ったシーンはありますか?
火野 ないわそんなの(苦笑)!! 「うわー、エロっ」とか思いながら仕事できるかい! 逆に、映画を見てどうだったの? 私も縛られたいな~とか思ったの?
──ちょっと思いました。小向さんが、地下室に監禁されて火野さんに利尿剤を飲まされるシーンがあるじゃないですか。そのまま我慢しきれずに放尿してしまうところ……あそこが一番良かったです。
火野 ええ!? それ、おかしいんじゃないか(笑)。アレをイイって言う奴は変態やろ(笑)。ちなみにアレ、ほんまに放尿したんやで、あいつ。
──えっ、小向さんが? ホントですか!?
火野 うっそ。そういえば、利尿剤ってあんなにおしっこ出るもんなのか?
──利尿剤を飲むと、尿の量はすごいですよ。シャーッとすごい勢いで出て、色も黄色からだんだん透明になります。
火野 よくモデルさんが飲むっていうよな。俺の友達のモデルも飲んでたわ。
──今回の映画では、世界的に有名な緊縛師・有末剛先生のご指導を受けられていますが、芋虫ころがし、生け捕り揚羽締め、地獄吊り、三点逆股くぐり図など、有末先生のオリジナル緊縛も多かったと聞きました。難しくはありませんでしたか?
火野 難しかったよ。カットの中でやれって言われても焦るよな。どういうふうに撮れてるか、俺もまだ見てないから分からないけど。
──小向さんの肉感的な身体を縛ってみて、いかがでしたか? 今まで縛ってきた女性の身体と比べて。
火野 そんなもん分かるかー! 現場で「むむっ、これはちょっと他の女と違うな!」とか、考えないだろ(苦笑)。
──プライベートでの緊縛経験は?
火野 ないなあ。あまり興味もないな。でも、ロープは持ってるよ、2~3本かっぱらって。車に積んであるよ。犬をつないだりしてる。でもさ、あれって上等なロープなんだよな。お肌に優しい柔らかい痛くないヤツみたいよ。
──緊縛に限らず、女性を調教して自分好みの女に育て上げたことはありますか?
火野 育てるなんてそんな、娘くらいだよ(笑)。自分好みっていうのがよく分からんからな。もともとその人の個性があって、そこを好きになってるんだから、直す必要はないだろ。なんでわざわざ自分好みに変えてくのか? そんな男おるのか? 何様やっちゅうねん。
──強引に女性を支配しようとする人もいれば、恋愛に消極的な草食系男子や、セックスレスカップルも増えていると言われています。聞いたことありますか?
火野 うん、聞いたことある。最初なんのこっちゃと思ったけどな。ベジタリアンかと思ったわ(笑)。でも、草食動物の肉は旨いよな。そういう奴は、本人が自分の肉を旨くして、女に食われんのを待ってるんちゃうか? セックスレスっていうのも、俺が何かアドバイスしたところで、読んだやつがどんどんセックスするようになるとも思えんしな。好きにすればええんちゃう?
──それでいいんでしょうか?
火野 それはそれでいいんじゃないの。こっちだって、女の子が全部取られちゃうより、残しておいてもらったほうがいいんだからさ。
──なるほど……。先ほど「自分好みというのがよく分からない」とおっしゃってましたが、好きなタイプというか、女性を愛おしいと思うポイントはありますか?
火野 うーん、女の子はいつもカワイイよなあ、そら。
──(笑)。
火野 好みのタイプも特にないなあ。誰かしらどっかしら、良いところはあるし、あかんところもあるやろ。
──それはどんな欠点があっても受け止められるってことですか?
火野 悪いところを良いところで補っていればな。昔は何でもよかったけどな。穴があったら入りたい、って言葉があるけど、俺の場合は穴があったら入れたい、だったからな。立ってるものは親でもしよう、とかな、ってバカ言ってんじゃねえよ(笑)。
──昨年、あるイベントで「今一番興味がある女は歌手のmisonoだ」っておっしゃってましたけど、その気持ちは今も変わらないですか?
火野 うん、変わらないよ。なんか関西弁でカワイイやないか。お姉ちゃんよりmisonoの方がいいな。最近見ないなあmisono。テレビ出てんのか?
──たくさん出てます(笑)。misonoさんは今のところ大丈夫そうですが、アイドルの方は、熱愛で人気が失速することが多いですよね。たとえばAKB48ってご存知ですか?
火野 知ってる知ってる。
──あのグループは、恋愛禁止なんだそうです。最近は、女優の北乃きいさんがホテル帰りの路上キスをスクープされて謝罪するハメにもなりました。若くて恋愛も楽しい盛りのハズのアイドルたちが、恋愛に不自由な状況にあるんですね。自由な恋愛をしてきた火野さんとしては、そのへんどう思いますか?
火野 いやいや俺だって事務所に入ったときに「恋愛禁止!!」って宣告されれば、「ハイッ分かりましたー」って言って、もうちょっとバレないようにやったかもしんないよ?(笑) それに、そんな自由に恋愛してきてないよ、悪いけど! ただ、今のコたちに思うのは、なぜすぐ謝罪で記者会見をやらなならんのか、ってこと。記者会見をやることによって、騒動に終止符を打とうとしてるんだろうなとは思うけど。今の人たちはとにかく会見、会見……。やればやるほどしんどくなるのにな。
──火野さんも、今だったら毎月記者会見かもしれませんね。
火野 どこがや! 俺の顔に分別・常識って書いてあるやろ!
──あの、火野さんは自分から口説きに行くんですか? それとも、放っておいても女性から口説かれてしまうんですか?
火野 ははは、何の質問や!! そんなの、女の子に口説かせたりしたら、彼女たちに失礼やないか! まあ口説かれたことはないけども。口説かれる前に口説いてあげないと失礼やろ。
さすが「火野正平」である。
■火野正平(ひの・しょうへい)
1949年生まれ。癖のある役を独特の持ち味で演じる個性派俳優として、主に時代劇のシリーズドラマで活躍。その後も『大奥 華の乱』(04/フジテレビ系)など数多くのテレビドラマにレギュラー出演。映画出演作も『復讐するは我にあり』(79)、『ええじゃないか』(81)『瀬戸内ムーンライトセレナーデ』(97)、『梟の城』(99)、『牛頭』(03)などに多数。09年には音楽活動を再開、18年振りの新曲「今年の薔薇」とアルバム「ウーマン達への子守唄」(共に日本クラウン)をリリース。
■映画『花と蛇3』
出演:小向美奈子、本宮泰風、小松崎真里、琴乃、睦五朗、水谷ケイ、火野正平
8月28日より、銀座シネパトスほかにて順次公開
http://www.dmm.co.jp/hanatohebi3
歌声もまたシブい。
興奮必至!