今月27日、日本テレビの山本真純アナウンサーが仙台市の高層マンションから転落、死亡が確認された。自殺と見られている。34歳という若さでこの世を去った彼女。今年の2月に第一子を出産し、育児休暇中だったという。
『踊る! さんま御殿!!』のナレーションなど、耳馴染みのいい声はお茶の間でも人気だったのだが……。幸せの絶頂にいたはずの彼女に、一体なにがあったというのか。
「出産後の女性は、心理的な不安やホルモンバランスの変化から、うつ病になりやすいのです。産後うつ病は1割以上の女性がかかるというデータもあり、そのまま放置しておくと深刻な症状にもなってしまいます」(心理カウンセラーF氏)
一部報道によると、山本アナはこの「産後うつ病」の状態にあったという。夫は海外でマリンスポーツのインストラクターをしており、離れて暮らしているという不安もあったのだろうか。現場となったマンションには、祖父に子どもをお披露目するために訪れていた。育児には両親とともに専念していたというが、家族のサポートだけでは支えきれないほど深い抑うつ状態に悩まされていたのかもしれない。
「産後うつ病は虐待や自傷にも繋がるため、家族の理解や協力で回復に導かなくてはいけません。産後間もない女性の引き起こす虐待事件や無理心中は、産後うつ病が原因というケースも少なくありません。また、まじめな性格の女性ほど、産後のちょっとした不安からうつになってしまいがちなのです」(前出、心理カウンセラーF氏)
溢れる知性と明るさで、愛されていた山本アナ。しかし、そんな彼女だからこそ、産後うつという暗闇につまずいてしまったのかもしれない。それにつけてもここ数年、女子アナウンサーの自殺が後を絶たないのは、責任感を問われる「アナウンサー」という職業だからこその悲劇なのだろうか。
2001年、日テレの米森麻美アナが亡くなったケースは、件の山本アナの自殺と類似している点が多い。米森アナは第一子の出産後、約3週間後に他界している。家族の意向によって死因は伏せられているが、病死であればそう報道されているだろう。味の素グループ創業家の御曹司と結婚し、結婚7年目にしてようやく誕生した我が子を残しての悲劇。9年の歳月を経ても、未だ多くの謎に包まれている。
日テレでは07年にも、大杉君枝アナが自宅マンションで飛び降り自殺で亡くなっている。彼女の場合も出産後、育児休暇中の自殺だった。不妊治療の末、43歳で待望の第一子が誕生したが、出産後に原因不明の病気である「線維筋痛症」を発症。これは全身に激しい痛みが表れる病だが、根本的な治療法は見つかっていない。世間的に認知されていない病魔と闘い、育児に専念できない苦悩。この絶望から彼女を救う手立てはなかったのだろうか。
08年には、TBSからフリーに転向した川田亜子アナが練炭自殺で亡くなっている。フリーでの活動がうまくいかず、仕事や収入が減少したためといわれているが、真実は亡くなった本人にしか分からない。
近年、日本の年間自殺者数は3万人前後で推移している。これまでに紹介した事例は、自殺の件数全体から見れば少ないとはいえ、女子アナウンサーという枠で見れば十分すぎるほど多い。やはり女子アナウンサーには自殺してしまいがちな因子があるのかもしれない。
「実際のところ、女子アナの世界はストレスのたまりやすい世界ですからね。自殺には至らないにせよ、精神的にかなり参ってるコは多いんじゃないかな。収入面では同年代の同性と比べてかなり多く貰えるのは確かだけど、フリーになって成功した女子アナを見ると、自分の現状に満足できなくなるってパターンはよくある。それと、若いアナをちやほやする制作スタッフが多いのも問題。局の傾向にもよるけど、産休明けのアナウンサーに活躍の場があるかどうかも心配ですね」(TV局関係者M氏)
彼女らの大先輩にあたる元日テレアナウンサー、石川牧子さんは自著発売時のインタビューで、顎関節症にかかりスムーズに喋れなくなってしまった頃のことを語っている。自殺も考えたが「今死んだら親が悲しむ」という思いから、死ぬのを1日待ち、3日待ち、1週間待ち……と繰り返して乗り越えたという。
これだけ心の病についての情報が浸透した現在においても、うつ病はなかなか理解されにくいようだ。産後間もない母親に対しては、家族全員で注意深くケアしてほしい。そして自身がうつ状態になってしまった場合はどうか、家族のためにも生きようという意志を忘れないでほしい。
難関をくぐり抜けた女子アナたちには輝き続けて欲しい
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