「メンズサイゾー」読者の皆様なら、きっと一度は参加したことがあるだろう、乳談義。巨乳好きもいれば貧乳好きもおり、形状にこだわる者もいる。男子たるもの、各者各様のバスト観を持ち合わせていることと思われる。
一方の女性にとって、ある程度は自分の努力で増大が可能とはいえ、やはり天分によるところが大きいバストのサイズ。大きいなら大きいなりの、小さいなら小さいなりの悩みがあるようである。
古代日本においては、子孫繁栄の願いの象徴として、いわゆる「巨乳」に相当する土偶が作られていたことからも分かるように、巨乳への一種の崇拝があった。逆に、中世から近代においては、巨乳は若さを喪失した象徴、母親の象徴とされて、小さい胸ほど好まれてきた。
現代のように女性のふくよかなバストに再び価値が見出されるようになったのは、戦後、それなりの時間がたってからのことである。長らく日本人女性のブラのカップの大半はA~Bであったが、それは、自らの「大きい胸」を嫌い、あえて少し小さめのブラジャーをしていたからだ、という説もある。
今ではすっかり巨乳の優勢だ。たとえば、手元の携帯電話で「きょにゅう」と変換してみてほしい。第一候補はきっと「巨乳」となるはずだ。一方の「ひんにゅう」は、言葉狩りによって駆逐されていった他の「差別用語」たちと同様に、他者を貶める用語とみなされたのか、辞書に掲載されておらず、正しく変換されない。「貧しい乳」と変換したのち、「しい」を削除する、といったやり方でしか入力できない言葉となってしまっている。
この「貧乳」なる語は、実は近年の造語ではない。かつては、産後の乳の出が悪い状態をさして「貧乳」といった。現代では、言わずもがな、バストサイズの小さい女性をさして「貧乳」という。
2000年に放映を開始したテレビ朝日系のドラマシリーズ『TRICK』では、仲間由紀恵演じる主役・山田奈緒子の悩みである「貧乳」が、物語を解き明かす上でのキーワードのひとつになっている。「貧乳」の語が、地上波のゴールデン番組で堂々と繰り返されるほど日常的な語彙であることは間違いない。
自らを「トップオブザ貧乳」と自嘲気味に自慢するある女性は語る。
「彼氏の前で初めてブラを外された瞬間、大爆笑されました。修学旅行の風呂場でも、『男の子みたい』って同級生の話題になるし。サイズに合うブラジャーがないので、Aカップのブラジャーに布を詰めて着用してます。それでも胸がないので、できる服装もかなり限られています」(21歳、AAAカップ、72cm)
世間では「貧乳」という侮蔑的な言葉を言い換えるべきとの意見もあるものの、新しく考案された語も「プチさん」から「低脂肪乳」まで、どこかバカにしたニュアンスのものばかり。やはり、女性としてある程度はあるべきバストがほとんどないということが、マイナスポイントとみなされがちなのだろう。
一方で、巨乳をコンプレックスと感じる女性も少なくない。
「肩が凝るし、ちょっとした運動にも差し支える。Cくらいで成長が止まってほしかった」(23歳、Fカップ、91cm)
「同僚などからも、胸ばかり見られる。いくらダイエットしても胸だけは小さくならず、横幅の拡がりがおさまらない」(26歳、Eカップ、87cm)
なお、既出記事には、巨乳を悩むゼータクな女子との対談も掲載されている。ともかく、当事者にとっては、大きければ大きいほどよい、ということでもなさそうだ。
さて、グラビア写真集などを見る限りでは「巨乳こそ正義」となっている現代社会だが、我々男子の側の意見も挙げてみたい。
「最低でもDカップはないと燃えない。胸がある相手とじゃないと、女性と付き合っているという気がしない」(31歳、男性)
「巨乳こそ正義と思っていたが、貧乳女性と付き合って考え方が変わった。今では貧乳派。自分の中のロリコン的な部分が呼び起こされた感じ」(26歳、男性)
「若いうちは巨乳がいいが、将来的には絶対に垂れる。貧乳とは言わないまでも、長く付き合うのなら、普通乳がベストなのでは」(27歳、男性)
「エッチの最中の乳揺れを見ると興奮する。でも一番重要なのは感度」(29歳、男性)
決着をつけることが難しい問題だけに、ここでも多種多様な意見が出るに終わった。なにはともあれ、王道の巨乳でも、フェティッシュな貧乳でも、自分の望むおっぱいと巡り合えた男性は幸運である。
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