中国のメディア・環球網が、18日「日本のアダルト産業輸出が多くの国から反感を買っている」という記事を掲載した。記事の中で、日本のアダルト産業を「総生産額がGDPの1%を占め国防予算の上限に匹敵すると言われる」とし、飽和状態になりつつある日本国内から海外にターゲットを向け始めたことによる、各国の反応や反発を紹介した。
インドネシアでは、10年ほど前から日本のAVが流通し始め、供給が追いつかないほどの人気だという。一方で、イスラム教徒を中心に日本のAVブームを批判する声があがっており、昨年ある映像制作会社が日本のAV女優を映画の主役に起用しようとしたところ、抗議行動が起こって計画が頓挫したそうだ。
ドイツでは、日本の大人のオモチャが独身男性の人気を集めており、ダッチワイフなどは本物の女性の皮膚に近い感覚で評判なのだそうだ。また、AVやアダルトゲームなどもドイツ国内で大きなシェアを獲得しており、AVで使用される日本語も「輸出」されているとのこと。しかし、レイプなど過激なシーンをふんだんに盛り込んだアダルトマンガなど日本独特の変態さに対して反感を持っている人たちも多くいるという。
また、記事では日本独特の「性文化」について「古代に海洋漁業中心だった日本では、男性が長期間船に滞在することから性に対する渇望や幻想が潜在的に膨らんでいたことが現代まで受け継がれている」という、日本の大学教授の意見を掲載している。
以上、ツッコミどころ満載の記事だが、特に日本人の祖先が全員漁師だったかのような解説には首をかしげてしまう。一説では、日本のHENTAI文化は江戸時代の自由な町人文化で花開いたと言われており、春画などは現在のエロマンガの元祖であるとされる。また、大奥でも使用された、熊本県伝統の性具である「肥後ずいき」(通称、こけし)は今のバイブの元祖と言われる。この説によれば、日本人は海洋民族だったからではなく、特に江戸時代の識字率の高さと職人の技が多彩なエロ文化を生んだのだと言えよう。エロ文化を芸術にまで昇華させた先人たちのDNAが、ヲタクを含めた現在の日本人に受け継がれているのかもしれない。
この件に関しての中国のネットユーザーに対するアンケートでは、「各国の青少年などに悪影響、日本に圧力をかけるべき」が48%でトップ、「ニーズがある以上やむを得ない、経済的な行為の一つ」という消極的肯定派が23%、あとは「どうでもいい」などとなっている。
この記事が出た背景のひとつに、蒼井そらのTwitterフォロワーが中国で激増している、という事実も関係しているという。中国では厳しいインターネット規制が敷かれており、Twitterへのアクセスも禁止されているのだが、その網をかいくぐるネットユーザーも少なくないため、当局は頭を悩ませている。
それにしても、日本では携帯電話のガラパゴス化が顕在化して久しいが、エロコンテンツに関しては、日本のユーザーのHENTAI嗜好に合わせて進化した結果、ガラパゴス化どころか世界に広まっているのだから面白い。やはり「人類は皆兄弟、エロは世界を救う」のだろうか。
(文=高田コウイチロー)