ラッシャーみよしの「エロ業界栄枯盛衰物語」第23回:1999年

池袋の松子と”夢の薬” ED治療薬・バイアグラ発売!

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 1999年3月23日、日本でバイアグラの発売が始まる。

 といっても、1年前にアメリカで発売された直後から、この”夢の薬”は大変な話題になっており、すでに個人輸入などで取り寄せて使っていた人がかなりいたようですが、ぼくらの身近では老男優たち(笑)がずいぶん恩恵にあずかっていたみたいですね。名前を出していいのかしら? 例えば、漫画家にして男優としても活躍していた平口広美さんなどとも、よくバイアグラの話をしていました。

「いやさぁ、ラッシャー、あれは効きますよ。もうビンビン」

 平口さんは漫画の仕事でも風俗レポートをしていたので、毎週どこかで射精していたわけですが、「薬に頼らないともう無理!」とまで言っていました。と言うか、普通の人はそこまでセックスしないわけですが(笑)。

 みんなの感想を総合すると、気持ちいいかどうかに関係なく、とにかくビンビンになるそうで、仕事で勃起を継続させなくてはいけない男優にはうってつけの薬だったわけです。

 でも、ぼくはといえば、放っておいてもビンビンで、勃起の持って行き場がなくて困っていたほど。薬なんて必要ない……と思っていたわけですが、なんと「バイアグラを飲んでセックスをしなさい!」という仕事が、ある雑誌社から舞い込んできてしまいました。

 さあ、これはどうしましょ。手っ取り早いのはテレクラね。2001年にテレクラの規制は劇的に強化されましたが、99年当時はまだまだ有効な出会いツールでした。

 というわけで池袋の某テレクラに入り、(バイアグラを飲んで)電話をつなげてくれるのを待っていたわけですが、やがて時間は深夜となり、終電もなくなり、どうでもいいムダ話女との会話に飽き飽きしていた頃、1本の電話が。

「今、会える? 2でいいけど」

 なんだ援交かい。「2」って2万円のことね。この時間帯に「すぐに会える?」と聞いてくる女はたいていロクでもないです。帰る家がない日払いバイトのビンボー女が多く、見た目もおデブのドブスさんばかり。相手にしたくなかったのですが、少しだけ話をしてみると、彼女、ミュージシャンでスキンヘッドなんだって。ん? 前にもこんなことなかったか?(1986年の項参照

 で、会ってみたら、ヤッタァ! 大当たり! しかも、今回の方が大物だぞ。

 待ち合わせ場所にやってきたその女は、スキンヘッド? 確かに、女の髪は短いが、これはスキンヘッドと言うのではなくて、坊主頭とか3部刈りとか言うんでないけ?

 しかも、大きな紙袋をいくつも持って、ジャンパースカートにスニーカーをはいた30歳過ぎのデブ……。要するに、映画『嫌われ松子の一生』の最後のシーンに出てくる、あの松子さんそのもの。

 そんな彼女はぼくを見て、ニーッと笑い、腕をからませてきます。でも……

 前歯がない!(前のは、まがりなりにも3本あったぞ)

 しかし、バイアグラ恐るべしですねぇ。そのままラブホテルに行って、3発しましたよ!

 腰が抜けるほどハメてもらった松子は、すっかりぼくを恋人扱い。ラブラブ・オーラをプンプン出して、帰り道までつきまといます。歯のない口を開けて、ニーニー笑います。

「私ね、松任谷由実さんにグランドピアノをプレゼントされたの。すごい?」

 怖いよぉ! タクシーに叩き込んで、走って帰りましたが、でも、よくできたものだと感心しましたね。ビンビンに勃起するんですもの。バイアグラとの因果関係を証明するものはありませんが、薬効果だと思いたい。でないと、ぼくってすごい変態ってことになっちゃう(笑)。

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