企業サイト並に注目を集め、アクセスを稼いでいる個人サイトやブログの運営者に直撃取材し、本音や素顔を暴いていく本企画「アルファブロガーインタビュー」。第1回のエログロナンセンスサイト『ザイーガ』に続き、第2回にご登場頂くのは、アキバ系情報サイトの大家『アキバblog』の geek氏だ。秋葉原の街に365日ほぼ毎日休みなく出掛け、マンガ、DVD、CD、同人誌、ゲームなどを売るショップを巡回。秋葉原の日々の変化と、そこで起こった事件やイベントを独自の視点でレポートし続ける『アキバblog』を作っているのは、一体どういった人物なのか。話を聞いた。
──ご自身とサイトの紹介をお願いします!
geek geekといいます。子どもの頃からアニメやマンガ、そしてパソコンなどのオタク文化が好きでした。2004年1月に仕事を辞めて『アキバblog』を開設し、アクセス数は09年11月で月間約2700万PVありました。1日だと平均約90万PVですね。アキバはどこの街と比べても変わっているから大好きです。人々の欲望が集まる「欲望の街」ですよね。
──1日に約90万PVというのは物凄いアクセス数ですよね。サイトを始めたきっかけは?
geek 週3日は通うほどアキバが好きだったからです。始めた当初、数週間は毎日更新でもなく「たまに気がついたことを書くかな」くらいの気持ちだったんですが04年2月にヤマギワソフト館で起こった火事のレポートを書いたところ、アクセスが跳ね上がって。それで「秋葉原で誰でも見れることを書いたとしても、それを見たいと思う人がいるんだ。じゃあ毎日やってみよう」と思ったのが、現在のスタイルになったきっかけです。
──更新の際に心掛けていることはありますか?
geek 例えばある商品に関して、単なる自分の感想はなるべく書かないようにしています。その感想は個人だけのものであって、客観的に証明はできないので。主観を入れるのは怖い、とも思いますね。閲覧者の数が多いということは、プラスもマイナスも含め、それだけ大きな反響がありうる、ということですから。
──08年6月に起こった秋葉原通り魔事件の際はどうしていましたか?
geek もちろん街にいました。ビックリしましたね。生々しかったです。感情としては「生々しい」という表現が一番しっくりきます。予兆などは特に感じませんでした。秋葉原は「欲望の街」ではあるけれども、そこに殺人衝動のようなものはないように思います。
──主観を入れるのは怖い、と仰っていましたが、当時の事件の献花台についての記事に、geekさんのマスコミへの強い憤りがあるように感じられました。
geek 「我々は社会の公器。公平公正で真実を伝える媒体でござーい!」という態度で、主義主張を押し通そうとするマスコミは嫌いなんです。それと、アクセス数は多くとも、自分のサイトはあくまで「個人ブログ」だと思っています。「個人ブログ」だから内容が偏ることもあるだろうし、自分の目で見たこと以外は伝聞ですし。見てないものは分からないですからね。
──昨年4月に歩行者天国でTバック姿でお尻を露出し逮捕された、自称グラビアアイドルの沢本あすかさんにはどういった印象を持っていますか?
geek 沢本さんの記事には、かなり私の主観が入ってますね。路上パフォーマンスが過激になるにつれて、記事に自分の意思が滲み出てくるようになって来ました。彼女はただの目立ちたがり屋さんだと思います。何をしてでも注目を浴びたい人、なんでしょう。
──ネット上で多大な影響力を持つサイトをお持ちのgeekさんが、今面白いと思われるブログやサイトはなんでしょう?
geek 『アルファルファモザイク』『今日もやられやく』『痛いニュース』ですね。3つとも2ちゃんねるのスレッドを独自に編集しているサイトです。その編集センスに憧れますね。
──編集センスというと?
geek 例えば最近でいえば、ジャンプの連載作品である『めだかボックス』の第2巻が、とある本屋では1巻よりもたくさん積んでたんですね。凡庸にタイトル付けするなら、「2巻山盛りでした 1巻は瞬殺だったのに」と書くと思うんですよ。でもそこで少しひねって「『ONE PIECE』の最新刊である56巻が漫画単行本としては史上最高の初版発行部数285万部に達することになった」というニュースを踏まえて「『ワンピース』よりも、たくさん積んでたマンガ」というタイトルをつけて記事にしたんです。
そういった、そこに起こった事象をただレポートするだけでなく、どう切り取って見せるか、という技術が大事かなと思います。まだまだ修行中です。
──今後のサイト更新に対する意気込みを教えて下さい。
geek このまま「常に今のアクセス数の2倍を目標にして続けて行く」ことですね。アキバ巡回の記事に関しては、誰か別の人に書いてもらう、ということはしません。その場その場のディレクションが必要な作業だし、僕独自の言い回しや切り口を人に教えるのは無理だと思うからです。
──毎日秋葉原に通い詰めることに対して、苦痛を感じたりはしませんか?
geek それは全くないですね。自分の中では「秋葉原に通う」のは趣味なんです。朝から晩まで好きなことだけをやっているので幸せです。高校時代から皆勤賞で、社会人になってからも病欠したことはないんですよ。体は丈夫なんです(笑)。
(岡島紳士/アイドルゴシップクリッピング)
迷わず行けよ! 行けば分かるさ!!