若手のお笑いコンビにとって、最高の栄誉とされているM-1での優勝。一夜にして知名度も仕事もギャラもぐっとアップし、プライベートでも突然モテ始める。こういった状態をM-1バブルというのは皆さんもよくご存知であろう。
しかし、その陰でひっそりと涙を流す女性がいることも忘れてはいけないのだ。ある年の優勝者Nとは大阪時代からの仲というA子さんに、話を聞いた。以下、A子さんの話。
◆ ◆ ◆ ◆ ◆
出会いは合コン
出会ったのは、2007年の初めに行われた合コンでした。若手の芸人5人対、私たち女子大生5人、みたいな感じで、Nはコンビで来ていましたよ。その日、私が仲良くなったのはボケ担当のほうで、飲み会後のメールで、今度二人で会おうって誘われて……。当時の私には、うまくいっていなかったけど一応彼氏がいて、そのことは合コンでも言っていたし、二人で飲んでも変な雰囲気になんかなるわけがないと信じ、私は彼と飲みにいくことにしました。
居酒屋のカウンターに並んで座った彼は、若干緊張していたのか、飲み会の時よりおとなしくて優しい、物腰の柔らかい人でした。ところがだんだんお酒が入ってくるにつれて、「俺にも彼女がいるんだけど、実はもう別れそうなんだ」と言い出して。
俺たち二人が付き合っちゃったほうがいいのかも、なんて口説く彼を拒みきれなかった私は、彼に手を引かれてそのままホテルに入ってしまいました。
ベッドの中で彼は、「可愛い、好きだ」と何度も言ってくれて、私はそれがすごくうれしくて、その日だけでなく、数回彼と肌を重ねてしまいました。
俗にいうセフレ関係だったんでしょうけど、その時の私は本気で彼のことが好きになってしまい、いつか本命の彼女になりたい、とさえも思っていました。
その後、彼の上京、私もグラビアタレントを目指して上京、そして、M-1での彼らの優勝があり……。テレビでよく顔を見るようになったので、忙しいのだろうと、あまり連絡を取らない日々が続きました。
M-1優勝で、豹変した彼
夏の終わりくらいに、久しぶりにかかってきた電話の向こうの彼はもう、まったくの別人になっていました。喋り方も乱暴になっていて、いきなり、「女紹介しろよ」なんて言うんです。
今まで、仮にもセフレとして付き合っていた私にそんなことを言うなんて。しかも、紹介=即Hみたいなノリのいい子を頼む、とか無茶苦茶を言うんです。
断りたかったけど、なんだか怖かったのと、少しだけ会いたいのもあって、私は同じ事務所の友達に相談しました。すると彼女自身が「私行きたい!」となって……。
とんとん拍子に話は進み、カラオケつきの個室ダイニングバーで2対2で飲むことに。男性のもうひとりも、名前は忘れちゃいましたが芸人さんで、でも完全に彼の引き立て役のような感じの地味な人でした。私はその人とフツーに話をしていたのですが、その横で彼と私の友達はキスをしたり、胸を触りあったり、なんだか相当乱れていました。
しかも彼、ギャグなのか本心なのか「俺スターだし!」って何度も連呼するんです。
だんだんバカバカしくなってきた私は気分が悪くなったということにして、タクシーを呼んで途中で帰りました。
そのあと、彼と友達は当然のようにホテルに行ったそうです。
あれから私は、彼と一切連絡をとっていないのですが、友達の方はしょっちゅう女の子の紹介を求められているようです。一度でも寝た女にそういうことを頼む神経とか全然理解できないし、許せないですよね。
でも人のいい彼女のことなので、もう三人くらいは紹介してあげたんだとか。もちろん必ずホテルつきですよ。その中の一人が本気で彼のことを好きになってしまって、毎日泣いているそうです。
それを聞いた今、そんなきっかけを作ってしまった自分と、M-1バブル後に急変してしまった彼に対しての嫌悪感が止まりません……。
◆ ◆ ◆ ◆ ◆
M-1優勝後、突然環境が変わったことによる、調子に乗っちゃった系のエピソードなのだろうが、Nは11月にはブログで、「彼女います」「同棲するかも」発言をしている。そろそろ自分を取り戻して、落ち着いてほしいものである。
(取材・文=ナナミ・ブルボンヌ)