世界有数の混雑となっている東京の通勤電車。行きも帰りもギュウギュウ詰めの車内で、サラリーマンも学生も、悲鳴をあげながら電車に揺られていることは周知の通りであり、我が国最大の社会的問題のひとつだ。
そんな極限の状況下で、モニター越しに通勤の疲れを癒してくれる天使たち……。JR東日本が始めた、通勤電車内の動画放送「トレインチャンネル」に出演するアイドルたちが、密かな人気を集めている。
最新の通勤型電車で視聴できる同社の「トレインチャンネル」は、当初は山手線のみでの放送であったものの、06年以降、対象を拡大。中央・青梅線、京浜東北線、京葉線の通勤電車で番組が見られるようになった。基本的にすべての番組がスポンサーとのタイアップ企画であり、路線ごとに異なるのは、沿線の天気予報のみとなっている。
今冬に始まったトレインチャンネルの番組の中で一番の人気は、「1min 脳科学」に出演する、妹系美女・はるな梢チャン。「職場の部下」や「付き合ったばかりの彼女」といった萌え萌えなシチュエーションで、通勤電車のオジサマの目線を釘付けに。
目指せ! トレチャン発ブレイク!!
はるな梢オフィシャルブログ「はるな梢のまったり行こうよ」より
同じく人気番組であるサッポロビール提供の「繁盛店の逸品」に出演するのは、同社のイメージガールだ。絶大な人気を誇った09年度のイメージガール美優紀チャンから、中村果生莉(かおり)チャンに交代。癒し系美女からセクシー系美女にバトンタッチと相成った。しかし、通勤電車という場所柄もあってか、「(癒し系の)美優紀チャンのほうがよかった」という声も聞かれる。
美優紀オフィシャルブログ「美優紀のFestival Life」より
沿線の天気予報番組を配信するのはウェザーニュース社。18歳から30歳までの女性を対象にオーディションを行っており、その中から各エリアの上位2名がキャスターに選ばれ、約半年間「お天気お姉さん」を務める仕組みになっている。現役女子大生から駆け出しの声優サンまで、日本中の美女を堪能できる、穴場的な番組なのだ。
以上のように、ローカルながらも美女揃いで、乗客からもかなりの注目を集めているトレインチャンネルだが、不景気が直撃する広告分野だけに、他の媒体の例に漏れず、出稿する企業が減少している。
しかし、一回のローテーションに含まれる番組の数が減少し、結果同じ番組が多く放送されるようになっているので、枠の値段は同じながらも人目につく頻度が高くなることになり、魅力が高まっていると考えることもできる。
では、すでに多数の美女が出演する同媒体だが、例えば現役グラドルたちを起用した「プチお色気番組」のようなものが実現することはあり得るのだろうか。スポンサードする企業にもメリットは多そうな話だが……。
「確かに、男性の乗客の注目度が高いという媒体の特性を活かせば、そういった番組も考えられますが……。それでも通勤電車という、極めて公共性の高い場所に出稿するわけですから、トレインチャンネルのみならず、電車の中吊り広告の場合にも、あまり過激になり過ぎないように、という慣行があります」(広告代理店勤務の男性)
身の回りのメディアに美女が増えるのは良いことにしても、電車内でムラムラし過ぎたらマズいのも事実。痴漢事件が後を絶たない日本の通勤電車では、「癒し系」の枠を越えた広告はNGなのかもしれない。もしくは近い将来、「トレインチャンネルのあのコが脱いだ」のような見出しが中吊りに躍ることもあるのだろうか!?
『痴指と通勤電車 沙絵子三十二歳』著:倉田稼頭鬼/フランス書院刊
痴指って!