『NHK紅白歌合戦』への2回目の出場も決まり、今最も勢いのあるアイドルグループ、AKB48。10月21日に発売された14枚目となるシングル『RIVER』はオリコン週間ランキングで初登場1位を獲得。05年12月の結成当初は劇場に客が入らず、寒空の下、メンバー自ら客を勧誘するなど涙ぐましい下積み生活を送っていたが、約4年の歳月を経て、ようやくトップアイドルとして世に認められた、というわけだ。
しかし一方、知名度が増すにつれ、悪いニュースも聞こえてくる。メンバーによる度重なる恋愛スキャンダル、脱退、解雇……。また”AKB商法”と揶揄される「CDの購入枚数に応じて特典を付加するなどして、同一のCDの大量購入を煽る販売手法」も、相変わらず問題視されている状態だ。
そんな彼女たちの光と影を、グループ最初期からずっと見守って来たのが、”古参ヲタ”と呼ばれるAKB48ファンたちだ。今回はAKB48古参ヲタを自認する3名を召集。彼らは今トップアイドルへと上り詰めたAKB48を見て何を感じているのか。また知名度が増すにつれ、メンバーはどのように変化して来たのか。彼らの胸の内を、赤裸々に語り合ってもらった。
<AKB48古参ヲタプロフィール>
●古参A:浦野推し
05年12月、グループ結成当初からヲタに。いわゆる”最古参”。最初からずっと浦野一美推し。31歳。
●古参B:ゆかりん推し
06年11月からヲタに。最初から佐藤由加理推し。「時期的に考えて自分は古参とはいえないですが」と控えめな様子。25歳。
●古参C:梅田推し
06年1月からヲタに。最初は前田敦子ヲタだったが、途中で大江朝美ヲタに推し変。現在は梅田彩佳推し。30歳。
(※推し……自分のお気に入り、イチ推しのメンバー)
(※推し変……別のメンバーに乗り変えること)
──古参の皆さんから、現在のAKB48はどう見えているのでしょうか?
A 当初のコンセプトである「会いに行けるアイドル」では、今はもうないよね。まずポラ権(メンバーとポラロイド写真でツーショットを撮れる権利)という制度もほぼなくなったし。これがあれば、撮影にかこつけて4~5分くらいメンバーと話ができたのにね。劇場公演も全て抽選で、ほとんど当たらないし、握手会は開催されるけど、一瞬しかメンバーと喋れない。
B この間の握手会では5、6秒ではがされちゃったよ。
C 人気ないメンバーでも10秒あっていい方かなあ。
B 今の売れちゃった状況は、グループ自体が好きな人はまだいいけど、特定のメンバーが好きな人には辛いだろうね。
A 周りには”会えなくなったこと”を嘆いてる古参ヲタはたくさんいるよ。お金持ちのヲタはポラ権を人から買いまくってたけど、今はお金があっても意味ないわけだしね。現場から離れちゃった古参ヲタは多いよ。
──現場のファン層は変わりました?
A 最初は地下アイドルが好きな、年季の入ったアイドルヲタが多かったけど、今は若いヲタが増えた。高校生ばっかりだよ。
C ある意味騙されちゃってるファンが多いと思う。「メジャーなアイドルなのに自分のことを覚えてくれる」ってことが嬉しくて。でも半年も経てば「別に本気で恋してても付き合えないじゃん」ってことに気付くんだけど(笑)。たぶん初めてアイドルイベントの現場に来たような子が多いんじゃないかな。
A この間、高校生のファンが「今日学ランの下に赤いシャツ着てて派手だから覚えてくれるかも」とか言ってて、「頑張れよ!」って思った(笑)
B ファンの年齢層が下がった分、マジでメンバーに恋しちゃってるファンが増えたよね。
A 「付き合える!」って思って高価なプレゼントをしたり、CDを大量に買ったりして、貢いじゃうんだよね。
──売れたことで「変わってしまった」と感じるメンバーはいますか?
A 前田敦子は最初から愛想は良くなかった印象かな。
B 柏木由紀はヲタの名前を覚えようとするよね。元々はモーニング娘。のオーデイションを受けてたくらい本人がアイドル好きだから、ヲタの気持ちが分かるんだろうね。でも今はヲタの数が増え過ぎてショートしてるっぽい。
A 20人くらいなら誰でも覚えられるけど、何百人と濃いヲタが現れたら、さすがに厳しいよね。
C キャバ嬢みたいにヲタリストメモを作ってる子もいるよ。梅田彩佳に「バッチリCさんの名前、メモ帳に書きましたから」って言われて逆に落ち込んだことがある(笑)。
A あと前田敦子、小嶋陽菜、篠田麻里子、高橋みなみとかの中心メンバーは愛想が良くなったよね。
C 前田は「私はAKB代表」「私はAKBの中で絶大な権力を持っている」っていう顔になった。
A もう握手をしても、普通のメジャーアイドルと同じで、付き合えそうな匂いは一切しない(笑)。
◆後編はこちら
(岡島紳士/アイドルゴシップクリッピング)