未来の村上隆を育成中の学び舎に、急きょセッティングされた特設野外ステージ。東京藝術大学の学園祭、いわゆる「藝祭」。日本芸術界の最高学府にて年に一度行われるお祭りイベントが、今年も9月4日から3日間開催された。その最終日、注目の若手アーティストがコラボレーションを果たすとの情報をキャッチ。それも、昔懐かしの「野球拳」という意味不明な形で!! 野球拳とアートの間にどんな繋がりも見出せず不可解な気持ちは拭えないけど、それが前衛ってものなのかしら。ちょいと偵察してきたわ。
『モエモエ野球拳＋ハイパーライブペィンティング☆』と題したおバカなステージングを披露してくれるのは、今や日本を代表する現代美術家・会田誠（ちなみに東京藝術大学大学院美術研究科油画技法・材料研究専攻修了）が愛弟子として可愛がっている美少女2名。アキバの路上でライブペインティングをして話題となった「愛☆まどんな」こと加藤愛嬢と、カラフルな版画で最近の「デコブーム」【註】にドンピシャ乗っている「まこぷり」こと渡辺真子嬢。
深夜枠の某テレビ番組でひな壇アイドルを務めたこともある美少女まこぷりがステージに上がると「カワイイ～」の歓声が。彼女はそのルックスを生かして自身を作品化することもあるらしい。と、おもむろに野球拳開始！ 「やぁきゅう～すぅるなら～♪」とお馴染みのミュージックに合わせ、二人がじゃんけん対決をするも、一方的にまこぷりが負け続け、洋服を脱ぎ続けるというデキレース。
浴衣姿で登場したものの、その下に着込んでいたセーラー服、ミニスカポリス、ナース服（どんだけレイヤードスタイルなのよ！）……とキューティハニーのごときコスプレ衣装を脱ぎ捨てて、しまいには裸同然の水着スタイルに!! いわく、「ラムだっちゃ☆」。ずるいわ！ っていうかここまでまったく「芸術」関係ないし。
艶めかしい太もものラインも絵の具に浸食されてギザエロス！
さて、ここからが本番というわけで、まっちろなお肌を露わにしたまこぷりをキャンバスに、光の速さでペインティングを始める愛☆まどんな。彼女の作風はいわゆる「美少女」で、往年の吾妻ひでおを思い出させるムッチリ系の女の子を描いて人気を博しているようね。美少女が、美少女の肢体に、美少女を描く……何この構図！ やっぱり意味わかんない！ 作品（まこぷりの体）が完成しても、これが前衛芸術というものなのか釈然としなかったので、お二人にお話を聞いてみました。
――お二人でステージをやろうということになったきっかけは？
まこぷり もともと愛ちゃんとゎお友達で、愛ちゃんが秋葉原で路上ライブペインティングをしていたときにモデルさんを務めたこともありました☆ 今回は私にとって学生生活最後の藝祭なので、愛ちゃんと一緒に何かしたいなと思って私から誘ったことがきっかけです♪ 学生サンたちに、愛ちゃんが絵を描くときのパワフルさを見せつけたいっていぅ気持ちもありました！
――野球拳は必要なかったような気もしますけど……。
まこぷり 路上ペインティングでは、白いTシャツとか洋服の上に絵を描いていたので、『せっかくなら体中に描いて☆』と提案して。
完成でございます愛☆まどんな それなら最初から裸でいるよりも、野球拳でだんだん脱いでいくほうが面白い！って
――素肌にペイントする経験は珍しかったのでは？
まこぷり やってみて、80年代のチープなバラエティみたぃで楽しかったです☆ それに、素肌に絵を描かれるなんてちょっと恥ずかしかったけど、どんどんテンションが上がっていって……気持ち良かったです♪
愛☆まどんな 美しいまこぷりのきめ細やかなお肌を絵の具で汚す快感……私のヘンタイ趣味が癒されました。ごちそうさまでした！ 描かれている最中も、いちいちエロいポージングを取ってくれるので、最高にアガりました！
詳細は未定ですが、今後も二人で共同イベントを開催する予定があるとか。会田誠チルドレンには、他にも広島上空に飛行機雲で「ピカッ」という文字を書き話題（問題？）となったChim↑Pomなど、海外から熱い視線を注がれるアーティストが目白押し。彼女たちも、青田買いしておいて損はないかもしれないわね。
（ライター／カマ田サンディ）
【註】デコブーム：携帯電話やニンテンドーDSから鏡に名刺入れや万年筆まで、何にでもラインストーンや造花を飾り、過剰にデコレーションするブーム。若い女性を中心に大流行中。
●愛☆まどんな
本名：加藤愛。1984年東京生まれ。都立芸術高校卒業後、秋葉原の路上ペインティングライブ敢行で話題に。代表作に、会田氏とのコラボレーション作品「愛ちゃん盆栽」など。その他、立体、アクリル画、自作マンガ、グラフィック、アニメーションなど、制作内容は多岐に渡る。個展「果実展」（～9/30＠アンティークスタジオミノル）を開催中。http://ai-madonna.jp/
●まこぷり
本名：渡辺真子。1984年東京生まれ。東京藝術大学美術学部油画専攻卒業、東京藝術大学大学院美術研究科版画専攻在籍。立体、水彩、シルクスクリーン、リトグラフなど方法を問わず、「カワイイもの」「キラキラしたもの」をモチーフに作品を制作。時には自らを「魔法少女」と作品化して踊ることも。2006年「セプティー二展」エディション賞受賞、2008年「第33回全国大学版画展」収蔵賞受賞。http://makopuri.com/
ボディペインティングといえば。
