素人を捕まえるときは、路上で声かけもするが、ネット上の「モデル募集サイト」を使うこともある。撮影されたいモデルと撮影したいカメラマンをつなぐサイトで、色々な女のコがサンプル写真を載せ、条件を書いている。その中に、鈴木あみをちょっとだけギャルにしたような可愛い女のコ、Mちゃんがいた。早速メールをしてみたところ……。
「撮影するのはいいんですけど、ギャラはいくらですか?」
「もうちょっと高くなりませんか?」
と、やたらギャラのことばかり気にしてくる。素人モデルに払っていたギャラは……高くもなく、安くもない。単体のAV女優に払う額の10分の1程度だが、普通の女のコが1日で得るお金としては十分すぎるというところか……。話し合いで納得してもらい、撮影することに。
アルタ前で待ち合わせたMちゃんと歌舞伎町のカラオケに行き、その後ホテルへ。いつもは俺がリードしていくのだが、Mちゃんがやたら歌舞伎町の事情に詳しい。結局彼女に薦められたラブホに入った。撮影する前に、気になっていたことを質問してみた。
「なんかこの辺にやたら詳しいけど、風俗とかやってるの?」
「あ、デリヘルやってます」
やっぱり。もしかすると読者のみなさんの夢を壊すことになってしまうかもしれないが、「素人」と言っても、ヌードになるコは風俗などで働いていることが多い。「AV嬢ではない」と言う意味では「素人」でも、完全なる「素人」とはちょっと違うのかもしれない。
「そうなんだー。デリヘルもやって、モデルもやってるんだ。じゃあ結構稼ぎいいでしょ?」
「そうですね……年収1000万くらいはあります」
年収1000万! 普通のサラリーマンが、がんばってもなかなか到達できない数字だ。
「そしたら、貯金とかすごいでしょう?」
「貯金は……ゼロです」
「……え!? なんで?」
「ホストに使っちゃうから」
「えー!」
「……っていうか、貢いでるホストがいるから、ヘルスとかモデルとかがんばってるって感じです」
「そうなんだ……歌舞伎町で働いてるホストなの?」
「そうです。Rっていうお店です」
R。聞いたことがある。ナンバーワンがビジュアル系バンドのようなルックスで、テレビに何回か出演していた。
「Rかー。じゃあYに惚れてるんだ」
「違います。全然あんなのタイプじゃありません。ナンバースリーのRです」
「そうなんだ……」
写真を見せてもらったが、今イチナンバーワンとの違いがわからない……。
「Rをナンバーワンにするのが、私の夢なんです。そのために、いっぱい稼いでるんです。今日もこの後にお店に行って、指名して飲みまくります」
「そう……なんだ……」
夢の形は人それぞれだが、我々が必死で働いた金がモデルに渡り、それを簡単にホストが吸い上げていると、怒りというかやるせなさがこみ上げてくる……。せめて一矢報いるために、この日はいつもよりもしつこくハメてやりました!
(取材・文=郷田ゴー)
そんなにイイ男?