知ることからすべてが始まる

偏見という障害を突破せよ! 障害者の性をテーマにしたコンテスト開催

nor.jpgNPO法人「Noir(ノアール)」HP

 身体障害者の性に関した悩みを支援するNPO法人「Noir(ノアール)」。同団体の主宰である熊篠慶彦(39歳)さんも、脳性マヒによる重度の障害を抱えている。

kumashino02.jpgノアール主宰、熊篠慶彦さん

 身体障害者の性について、多くの人に関心を持ってもらいたいという想いから、自身の体験や思想を綴った書籍『たった5センチのハードル』(ワニブックス)を平成13年に刊行。その他にも、身体障害者が安心して利用できるラブホテルや風俗店などを紹介した情報サイトを立ち上げたり、身体障害者の性に対して正面から向き合ったAVに出演したりと、精力的に活動してきた。

 身体障害者や介護者へ向けた性に関する相談や、オナホールなど自助具の改造も行っているノアールは、熊篠さんが中心となって平成16年に発足。月に1回のペースでイベントや勉強会を企画しており、学校から招致されるなど地方へ遠征することもある。

 そんなノアールは現在、身体障害者のセクシュアリティをテーマにした懸賞コンテストを開催しており、論文や川柳、映像など様々なジャンルで作品を募集中。身体障害者の性的欲求に対する間違ったイメージを払拭し、正しい知識を広めることが企画趣旨だという。

tengaNR.jpg手首や肘の関節が曲がっている熊篠さんのため
に作業療法士が製作したTENGA固定器具。障
害でTENGAが使えないと悩んでいる方は、気軽
にノアールに相談してほしいとのこと



 審査はノアールや協賛であるTENGAの関係者を始め、放送作家の鈴木おさむ氏やイラストレーターのリリー・フランキー氏といった、各界の著名人を特別選考委員として招き、優秀作品を選出。論文部門、映像部門、自助具部門の最優秀賞に選ばれると賞金10万円、川柳部門では賞金3万円の他、全ての部門で賞状と記念品が授与される。

 このコンテストをきっかけに、当事者と介護者だけではなく市民一人ひとりの想像力を喚起し、それら横の繋がりが目に見える形になればと、ノアール代表の熊篠さんは展望を語る。
 
 すべての部門においては、女性身体障害者のセクシュアリティをテーマにした作品が、特に求められているという。女性の身体障害者が性欲を満たすことは男性よりも難しく、生理や排泄などデリケートな問題も存在する。今まで表面化に至っていないそれらの事実を、多くの方に知ってもらうことも目的の一つだそうだ。

 懸賞コンテストはペンネームで応募が可能なため、周りの目を気にしてイベントを避けていた方や、表現の場に恵まれなかった方などにも、気軽に参加してもらいたいと熊篠さんは願う。作品の内容に関しては特に規制を設けていないため、遊び心が詰まったモノなど、自由な発想で独創的な作品を生み出してほしいとのこと。締切りは9月30日必着で、入選者の発表は10月下旬を予定している。

magonote.jpg孫の手ローター初号機。ノアールで製作した
女性身体障害者向け自慰用自助具


 さらに、同コンテストは書籍化の企画も進行中で、映像部門の優秀作品を付録のDVDに収める予定だそうだ。優秀作品は様々なメディアを通して発表される可能性が高く、入賞した方には思いがけないチャンスが舞い込むかもしれない。

 ノアールの活動予定として、7月25日(土)に東京都障害者福祉会館で勉強会が開催されるほか、8月29日(土)~30日(日)にはパラダイステレビのチャリティ番組である『24時間テレビ エロは地球を救う2009』に熊篠さんが出演する。今後はイベントの企画やメディアへの出演だけでなく、フィールドを問わず活動の幅を広げていくとのこと。業界の垣根を越えたノアールと熊篠さんの活躍に、いっそう注目が集まるのは間違いないだろう。

ノアールの活動や懸賞コンテストについての詳細は下記へ。
NPO法人「Noir(ノアール)」

懸賞コンテストに関する質問などは、こちらへお問い合わせください。
特定非営利活動法人ノアール事務局 npo.noir@gmail.com

熊篠慶彦(くましの よしひこ)
1969年12月17日生まれ。脳性マヒにより手足が不自由な重度障害者。特定非営利活動法人ノアール理事長、風俗店バリアフリーアドバイザー、ラブホテルバリアフリーアドバイザー

『たった5センチのハードル―誰も語らなかった身体障害者のセックス』(ワニブックス)

 
知らなければ何も始まらない

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