元AV嬢・峰なゆかが語る業界裏話!

最先端エロ講座「えっ、まだ中出しなんて見てるの?」と言われないために! 

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 AV女優になって一番驚いたことは、エロに”流行”があることでした。

 「やっぱ今夏はレトロ調に近親相姦がマストだよね。ベーシックな母×息子のドラマものに、あえて尻フェチ要素でハズシを入れて俺流コーディネートのできあがり☆」なんて考えてAVを選ぶような、オカズの流行に敏感な人がいるってこと!?と、当時は非常に驚きました。

 けれどもともかく、私がAVデビューした頃は、「痴女もの」と「元芸能人」という肩書きが流行していると言われていて、そのお陰で本当はバリバリMの私は痴女役ばかりやらされることになり、結果、どもりながら淫語を棒読みするAVができあがりました。それでも「元・恋のからさわぎ11期生」という肩書きの効果で、私のぎこちない痴女AVですらけっこうな売れ行きを見せたのでした。

 ユーザーはあまり意識していないかもしれないけれど、時期によって一定のジャンルが売れるということは確かにあるのです。AVメーカーだけが敏感な、不思議なエロの流行。

 例えば今は”キカタン”(企画単体女優:企画女優の中で単体女優並みの人気を持つ)と”若熟女”が流行り。女優の属性以外でも、潮吹きや中出し、特撮といった企画が流行ることも。50代のAV女優に制服を着せる、”熟女セーラー服”などというすさまじいジャンルが流行したこともありました。

 謎が謎を呼ぶエロの流行ですが、それでもその流行の理由をひねり出せないこともありません。
 
 例えば長らく続く熟女ブームは、若者にAVを購入する習慣がなく、AVユーザーの年齢層が上がっているため、それに従ってAV女優もそれなりに熟れている層が選ばれていると考えられます。

 中出しやアナルが流行したときは、かつてなくモザイクの小さい時期で、従来のAVよりも膣から漏れる精液やアナルがはっきりと見えるようになったためというような背景が考えられます。

 けれど、中にはどうにも解せない流行というものがあります。熟女セーラー服もそのうちのひとつですが、気にかかるのは、私を長らく苦しめた痴女ブームのあとに突然やってきた、陵辱ブーム。

 女性が集団でM男をヒーヒー鳴かせるAVから、拘束された女優が白目を剥くまで電マやドリルバイブで攻め立てられる内容にがらりと変わったのです。全国のM男がいきなりハードサディストになるなんてこともないだろうに、この急激な流行の変換は実に不可解。

 その謎をとく鍵は、”痴女”というスタイルの考案者でもあるAV監督・二村ヒトシさんの説にありました。

 もともと、「自分はただごろりと寝ているだけで、きれいなお姉さんに積極的に気持ちよくされたい!」というワガママな男心をあますところなく捉えたのが痴女もの。しかし完璧に思えたそのジャンルにも、落ち度がありました。M男優のあえぎ声に、ユーザーがついていけなかったのです。
 
 そうなんです。痴女が責めれば責めるほど、AVに音声として残るのは男優のむさくるしいあえぎ声がメインになってしまいます。女優のあえぎ声を出しても不自然じゃない状況を作るには、従来のAVと同じく男優が責める側に回るしかありません。

 俺はマグロでいたい! だけど女の子のあえぎ声が聞きたい!!
 
 この相反する欲求を持ったユーザーが選んだのは、陵辱ものの女優さんがイカされまくる作品を見て、なんと”女性の側に感情移入する”という方法だったのです。

 確かにそれならば女優のあえぎ声がメインで、感情移入対象は基本的に自分から動くことはないし、男性と違って何度でもイケます。まさに理想形。

 陵辱ものブームの陰には、女の子に感情移入して電マでガンガン責めたてられ、こてんぱんに二本挿しされることを無意識のうちに夢想するM男たちがいたのですね。

 いちM女としては、なんだか先行き不安になってしまう流行です。
(ライター/峰なゆか)

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