隔たりセックスコラム連載「別れのピロートーク#4」
隔たり…「メンズサイゾーエロ体験談」の人気投稿者。マッチングアプリ等を利用した本気の恋愛体験を通して、男と女の性と愛について深くえぐりながら自らも傷ついていく姿をさらけ出す。現在、メンズサイゾーにセックスコラムを寄稿中。ペンネーム「隔たり」は敬愛するMr.Childrenのナンバーより。 |
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「ごめん。まだ引っ越しの片付け終わってないんだ」
体を屈ませて靴を脱ぎながら、梨香はそう言った。ワンピースのスカートが持ち上がり、白くてムチムチとした生足があらわれる。僕はそこに無意識に目を奪われながら「うん」とだけ返した。
靴を脱いで部屋に上がる。玄関の先には小さな廊下があって、左にキッチン、右には浴室とトイレがあった。梨香はスタスタと歩き、その先の扉を開ける。
6畳くらいの真四角な部屋だった。壁は白く、床のフローリングは光っているように見える。
「新築?」
「うん」
次の行動の目的を見失ったのか、梨香は浮遊するように部屋の中を歩き、「ダンボールまだ開けられてなくて」と独り言のように呟いた。見ると、部屋の隅にダンボールが積んである。
「大丈夫だよ。ぜんぜん気にならない」
部屋の中でふたり、立ち尽くす。目が合うと、梨香は不安そうな顔を見せた。
「ごめんね。一人暮らしも初めてだし、人を家に入れるのも初めてでさ。だからどうしたらいいかわからなくて」
「そうなんだ。ぜんぜん気にしなくていいよ」
「ありがとう。でもごめんね、座るところもないし」
部屋にはテレビと小さな丸机が置いてあるだけで、椅子やクッションはなかった。僕をどこに座らせようかと、梨香は戸惑っていたらしい。
「ううん。大丈夫だよ」
僕はチラリと横に目をやる。そこにはベッドがあった。
キスして。もっと深く。ベッドで愛して…。
「床に座る。でも、もしお尻が痛くなったらこのベッドに座っていい?」
「うん。そしたらベッドに座っていいよ」
梨香は「なんでそれが思いつかなかったんだろうね」と笑いながらベッドに座った。ああ、梨香らしい笑顔だなと思った。初めて会った日のカラオケ、居酒屋で見せてくれた明るい笑顔。今日はずっと緊張していたんだな、と思う。
梨香のベットは、いわゆるお姫様ベッドというのだろうか、白と淡いピンク色の可愛らしいベッドだった。意外にお姫様が好きなのかと想像するとなんだか愛おしくなってきて、ちょこんと座っている梨香を抱きしめたくなる。
そんな欲望を隠すように、僕もベッドに座った。キシっと音がなる。少し安物なのだろうか。このベッドでセックスをしたら音がうるさそうだな、とぼんやり思う。
梨香がはおっていたカーディガンを脱いだ。ワンピースはノースリーブだったらしく、むっちりとした腕があらわになった。二の腕が柔らかそうで、思わず手が伸びそうになる。だが、我慢我慢。
「どう? 一人暮らしは慣れた?」
下心を隠すようにして聞く。
「うーん。まだぜんぜんかな。やっぱり家に誰かいたほうが楽しいなって思うし」
「家族と仲良いの?」
「うん。けっこう仲良いほうだと思う」
「そっか。だとしたら、ひとりになるのはちょっと寂しいよね」
「寂しいね。夜が特に静かだから、寝る前とかはやっぱり寂しくなる」
夜、寝る前、寂しい。梨香とのセックスを期待している僕には、その言葉は誘っているようにしか聞こえない。