秋葉原を中心に人気のメイド喫茶に行ったことはあるだろうか。
そもそも秋葉原にメイドカフェが誕生したのは、「東京キャラクターショー1998」でカクテル・ソフトからリリースされて大ヒットしたエロゲー『Piaキャロットへようこそ!!2』をもとにした喫茶店を作ったことが始まりと言われている。そこから「Piaキャロレストラン」が正式に秋葉原に誕生し、「コスプレしたウェイトレスがサービスしてくれるカフェ」のコンセプトが固まったのだ。
いまでは「@ほぉ~むカフェ」や「めいどりーみん」といった人気のメイド喫茶が誕生し、各店舗のメイドはかわいらいしいメイド服を身にまとい、独特のパフォーマンスを繰り広げることでアイドル化した。このメイドカフェの文化は「メイド萌え」と呼ばれるもので、いわゆるイギリスを発祥とする家庭内労働者としてのメイドとは全く異なる文化として発展し、今日に至っている。
さて、そんな日本独特のメイド文化だが、“家庭内労働者、もしくは使用人”として行動から服装まで英国風メイドが登場するエロゲーがある。aiasから2002年にリリースされた『幻夢館 ~愛欲と凌辱の淫罪~』だ。
このエロゲーは原画を人気のTony氏、『ファイアープロレスリングD』などで知られる和田貴史氏が音楽を担当するということで当時はスマッシュヒットを記録。エロアニメ化もされた。しかしその後ブランドは解散してしまう。それによりゲームの全権利が引き上げられ、Cielのもとで『真章 幻夢館』としてリメイクされた。ということで、今回はオリジナルの『幻夢館 ~愛欲と凌辱の淫罪~』をもとにしたエロアニメ『幻夢館』を紹介しよう。リリースはグリーンバニーだ。
以下あらすじである。。
主人公・木戸悟はしがない探偵稼業。ある日、事務所に一通の手紙と小切手が舞い込んだ。
内容は陸の孤島の洋館で、行方不明となったルビーの指輪を探してほしいというものだった。謎めいた内容に惹かれたが気乗りしない木戸だったが、事務所の経営難もあり渋々仕事を引き受ける。
指定された山奥の洋館には、その家の主人であるという美少女と、年老いた執事、美しい家庭教師と可憐なメイド、そして醜い下男がいた。
調査する日々の中で目にしたのは洋館の中で日夜凌辱が繰り広げられる、異様な光景だった……。
謎の隠し部屋、張り巡らされた隠し通路は一体なんのために存在するのか? なぜしがない自分にこの仕事の依頼が来たのか? 木戸は衝撃の事実に目の当たりにする。
今作はエロアニメ化されるにあたり、いくつかの改変がある。まず舞台が陸の孤島となった。これにより原作ではやや中途半端であったミステリー要素がより強まった。また、主人公の助手・中山芽衣と主人公が日常的に肉体関係のある設定となった。
上下巻で約60分。原作よりはミステリー要素が前に出たことにより、いわゆる「館モノ」としてはまずまず成功しているだろう。最後まで観ても未回収の伏線や仕掛けも多々あるが、雰囲気は十分だ。
また非常に作画のクオリティが高い。リリースが2003年であるものの、いま観ても十分に通用する。Tony氏のデザインを限りなく忠実に再現できており、崩れもほぼない。同じくTony氏が原画を担当した大ヒットエロアニメ『そらのいろ、みずのいろ』よりもその再現度は高いと思われる。
肝心なエロシーンも過不足ない。強いて欠点を言うのであれば、上下巻合わせても各キャラクター一度ずつしかシーンがないことだ。原作でも大人気だった、これぞ英国メイドキャラである渡瀬望のシーンは上巻のみである。彼女だけは両方にあっても良かったはずだ。
全体的にはエロゲー原作から大きく逸脱することもなく、60分にきれいにまとまっている。ただし、ミステリー部分だけは過度の期待はしないように。
(文=穴リスト猫)
【視聴はこちらから!】
■『『幻夢館 ~愛欲と凌辱の淫罪~』上巻』
■『『幻夢館 ~愛欲と凌辱の淫罪~』下巻』