美咲かんな連載エッセイ：ふしだらな気持ち
日々是精進で日々是好日
我が家には可愛い犬が2匹いる。犬種はチワワだ。血は繋がっていないが、兄妹として育てている。私が地味な暮らしをしているというのは、読者の皆さんはよく知っているだろうが、この子たちに出会っていなかったら、更に潤いのない人生になっていたに違いない。そう断言できるくらい、チワワにぞっこんだ。
ここ最近はどうやらペットブームらしい。コロナ禍でペット需要が増えたという話はテレビやネットでもよく取り上げられており、昨年新たに飼われた犬と猫は、どちらも前年より6万匹程度増加したそうだ。それだけ多くの人が孤独を感じているということだろうか。
長く付き合い、愛情をかけられるパートナーができるということは、喜ばしい。私自身、犬との出会いで生活はガラッと変わったし、QOLは爆上がりしたと思う。生き物と暮らすことはいいことだらけだ。ただし、それは「最後まで責任をもち続ける覚悟があれば」の話である。
需要が増えた分、トラブルも増加しているらしい。動物がストレスの捌け口にされてしまったり、飼育放棄されてしまったりという虐待もあるようだ。動物相手に限らずそういう痛ましい事件はあるのだが、現在の日本ではかなり気軽にペットを飼うことができてしまうので、動物に矛先が向きやすいのかもしれない。
また、動物自体を可愛がっていたとしても飼い主のモラルがないと、周囲の人とのトラブルに発展する可能性もある。無類の動物嫌いや差別的な人はいるし、嫌いではないけど苦手とか、怖いとか、好きだけどアレルギーで困る…という人もいるのだ。把握して気をつけるのは飼い主の務めである。
実際、私は動物があまり得意というわけではなかった。自分の部屋が汚れることや、身近なものににおいがついてしまうことも苦手だったし、牙や爪を怖いとも思っていた。それに、命を預かることは簡単なことではないという意識が、子供の頃から根強くあった。
そんな状態から犬と暮らすことを決意し、愛犬家になるまでは色々な段階を経て色々な気持ちの変化があったのだが、長くなるのでそこは端折ろう。
とにかく大切なことは、一緒に過ごす時間を作り愛情を注ぐことと、他人と動物に迷惑をかけないことだと思う。
散歩中に見かける「犬のフンは持ち帰りましょう」の看板を見るたびに申し訳ない気持ちになるし、同じ愛犬家として恥ずかしくもあるし、一括りにされてしまうことに悔しさも感じる。可愛いならなおさら、大事な家族が白い目で見られないように、うんこくらい始末してあげましょうよ。ねぇ。
今は何でも調べられる便利な時代なので、ペットのマナーやトラブルの防ぎ方など、飼育の際に必要な情報は収集しやすい。犬と暮らし始めて4年になるが、未だにネットや本、獣医に色々教わっている。知らないことはもちろん、知っていることでも改めて調べたり聞いたりして、偏った情報で満足しないように心掛けている。日々是精進とでも言おうか。
最初の方で「生き物と暮らすことはいいことだらけだ」と言ったが、覚悟と余裕がないなら諦めた方が賢明かもしれない。お金や時間だけでなく気持ちにもゆとりがないと難しい。旅行だって気軽にはいけなくなるし、長時間家を空けられない。
そして単純にとてつもなくお金がかかる。ペット飼育可能な物件は数が少ない上に割高だし、サービスや医療もなかなかの値段だ。あまり詳しくは話すつもりがないのだが、参考までに持病のある我が子(2匹のうち1匹)にかかる医療費の年間総額は数十万。容態によっては3桁近くかかる場合もある。もちろんそれ以上ということもある。
我が子の場合は予防や完治が不可能な病気だし、こればかりは事前に予期できないので、覚悟しなくてはならない部分だ。かかりやすい病気や医療費もある程度調べられるので、動物との暮らしを考えている人は飼う前に調べてみるのがお勧めである。
お金はかかるし手間もかかるし周りにも気を遣う。それでも愛犬が私に与えてくれるものは大きい。他の動物と人間との共存や、ペットのあり方について「これがベスト」というのは無いと思う。だからこそ考えて学んで、自分なりの最善を探す努力はしていたい。
我が子だって生まれてきたくて生まれてきたわけじゃないかもしれないし、我が家に来たかったわけでもないかもしれない。病気でしんどいかもしれないし、何も感じてないかもしれない。言葉だって通じないし、通じたところで別の個体なので腹の内はきっとわからないだろう。だけど、いや、だから全力で可愛がりたいのだ。
美咲かんな
【美咲かんな】
生年月日：1994年7月3日
スリーサイズ：T158・B85・W58・H88（cm）
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