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「娘の香織には本当に申し訳ないことをしたと思っています。なぜあんなことになってしまったのか。当然、娘の母として拒まなくてはいけなかったんです。でも、私の女の部分がそれを拒めなくて…」
ときどき自虐的な苦笑いを浮かべながら、裸のまま語り始める津弥子。
うつむいた横顔が美しいうえに贅肉のないボディラインの持ち主で、とても五十路とは思えないほどなのだが…。
この美貌がアダとなる。
聞けば、大事な家族が崩壊するほどの出来事を招いてしまったというのだ。
「元はといえば、私が娘の彼氏と肉体関係を持ってしまったことが原因なんです」
彼女の家は母子家庭で、母と娘のふたり暮らしをしていたのだが、事件は津弥子が37歳、娘が17歳のときに起こった。
ふたりの目の前に、ある男が現れたのがきっかけだった。
「娘から彼氏ができたというのは聞かされていたんですが…ある日、香織がタカシくんという年上の男のコを家につれてきたんです。ふたりは部屋にこもりっきりで、彼氏の方はかなりヤンキーっぽい男のコだったから、なにか変なことをしてるんじゃないかと心配でした」
聞けば、津弥子が娘の香織を生んだのが20歳のとき。
当時の男と後先考えずに中出しセックスした結果、妊娠が判明したのだが…その途端、男は津弥子の前から姿を消したそうだ。
「娘に私と同じ過ちを犯して欲しくなかったんです。だから…」
ある日、娘の留守中に尋ねてきたタカシを、津弥子は話があると言って家に招き入れた。
「タカシくん、香織とは、その…もうエッチはしているの?」
「え…なんでそんなこと」
「ね、香織はまだ17なの。せめて高校卒業するまで我慢して、ね、お願い」
すると、突然タカシが本性を現した。
「じゃあ、香織とヤラない代わりにオバサンがしてくれんの?」
そう言うやタカシはペニスを出し、津弥子の口元に押し付けてきた。津弥子は口を固く閉じて抵抗したが…。
「彼がオチ〇チンをしごく度に、どんどん大きくなっていくんです。香織の父親がいなくなってからずっと性欲を抑えてきたんですが…」
勃起したペニスから目が離せなくなってしまった津弥子。
「わ、私が相手をすればいいのね、分かったわ…」
と、目の前のペニスを口に咥え、興奮したタカシに押し倒されるまま、肉体関係をもってしまったそうだ。
そして、自分さえ我慢すれば、娘は不幸を回避できる…そんな言い訳を頭に浮かべつつ、その後もタカシが求める度にセックスを重ね、次第に18年振りに味わう快感の虜になっていた津弥子。
しかし、事態は最悪の結果を招いた。
「ママッ、タカシとヤッてるってホントなの!?」
ある日、泣きながら帰宅した娘が、津弥子につかみかかってきた。
「タカシくんと別れ話になったそうなんですが…そのとき、彼が私との関係を娘にバラしたんです。もう、何をどうしたいいか分からなくて」
それから娘は一切、口をきいてくれなくなったという。
そして、話はそれから4年後…。
津弥子が41歳になった年、当時の因果が再び母子家庭を襲うことになる。
「私と結婚したいという男性が現れたんです。香織は相変わらず口をきいてくれない状態でしたが、もう大学3年生で卒業したら家を出るだろうと思ってましたから…内緒でこっそり、その男性と付き合い始めたんです」
ところがある日、津弥子のスマートフォンに、娘から信じ難い画像が送りつけられた。
その画像とは…。
「私の彼と、香織がベッドの中で抱き合ってる自撮り写真だったんです。きっと私たちがデートしているところを香織が尾行したんだと思います。そして後日、香織が私の娘だとは言わずに彼に近づいて…誘惑したんだと思います。すべては私に復讐するために」
そして写真には、娘からの三行半ともとれる文面が添えられていた。
〈いい年こいて男作ってんじゃねぇよ、この淫乱ババァ。お前の男は私にチ●ポしゃぶられてヒーヒー言ってたわよ。ざまぁみろ〉
慰めの言葉の掛けようもない、辛らつな内容だ。
「そのメールを送ってきた翌日、娘は家を出て行きました。どうやら、大学も2年生のときに中退していたようです。それ以来…」
言葉を止めて、指折り数える津弥子。
「もう9年になりますが、娘とは一度も連絡を取っていないんです」
最後にそう言うと、彼女は「ふぅ」と、ひとつ息を吐くのだった…。
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