――そういえば、監督はTwitterなどにも乳首にスポットを当てた動画などを上げていますよね。それから撮影現場の裏側なども…。AVの裏側を見せることには反発もあったのでは?
さもあり:あまり良く思わない人がいるのは確かですね。でも、単純に絵面として面白いので、どんどん出した方が得だと思うんですよ。実際、裏側を見せた作品って数字を伸ばしていますし。
――広告のあり方も変わりそうです。
さもあり:それは間違いないですね。広告ってわかってしまうと誰もがスルーしがちなので、いかにそれを匂わせないで作品をアピールするかが重要だと思います。
――たとえば、リンクなども貼らない方が効果的?
さもあり:だと思います。結局、気になったユーザーは自力で探しますから。
――SNSなどが広告のメインだと考えれば、そのツールに合わせた戦略がありそうですね。
さもあり:これからのAVは必ずサブスクリプションの時代になるので、売り方もガラッと変わるはずです。
――まさに新時代の到来ですね。では、ここで最近監督が撮った朝日奈みおちゃんのデビュー作について伺いたいと思います。実はこないだ朝日奈みおちゃんにインタビューしたんですよ。デビュー作が24時間撮影し続ける斬新な作品だったので、気になって声をかけたんです。
さもあり:彼女には失礼だけど、デビューしていきなり売れるタイプではないと思ったんですよ。だから、一風変わったデビュー作にしようかなと。
――すごくヤル気のある子ですよね。
さもあり:そうそう。性欲とヤル気がすごい(笑)。なので、24時間ぶっとおしで撮影っていう無茶なことにトライしてみました。
――ドキュメンタリー系のAVですよね。
さもあり:僕はドキュメンタリーっぽい作品を撮ることが多いんですけど、別にドキュメンタリーが撮りたいわけじゃないんです。いちばん感情移入しやすいので、ドキュメンタリーっぽいものを撮っているだけなんです。
――ご自分の感情を作品に反映させるんですか?
さもあり:ワープで監督としてやりはじめたときは、けっこう凌辱作品を撮っていたんですけど、それがマジで売れなくて…。ワープの社長に「歴代の監督でいちばん売れていないから、監督を辞めた方がいいよ」って言われたほどなんです。それで「まずい」と思って、自分の性癖に合ったM作品を撮ってみたら、ばっこん売れたんです。
――気持ちが乗っている作品の方が売れたわけですね。
さもあり:そうなんですよ。凌辱系の作品を撮っているときは、その作品の雰囲気にのまれてか、僕もSを気取って無口になったりしてましたけど、痴女系の作品では女優さんとわいわい楽しみながら撮っていました。そのテンションが作品に反映されて、面白いものに仕上がるのかもしれません。
――現場が盛り上がらないと作品もつまらなくなってしまうんですね。
さもあり:そういうことってあると思います。とにかく女優さんのテンションを上げてほしいので、衣装とかネイルとかにはとてもこだわりますね。
――AVの衣装はダサいとも言われますが。
さもあり:それはもう絶対にダメだと思っています。スタイリングに関してはディレクションよりもこだわっているかもしれないです。
――AVの場合、服を射脱げば同じだっていう考えの人もいますが?
さもあり:そんなわけないですよね。逆にAVは脱いだら終わりって思っています。僕は現場で女性の裸を見たことがほとんどないですから(笑)。最近は男が全裸で女が着衣っていう「CFNM(Clothed Female, Naked Male)」っていうジャンルが人気ですけど、まさにその状態が理想ですね。
――唐突ですが、監督の中での最高のAVというのは?
さもあり:その時によって感覚が変わるので難しいですけど…全部がヌキどころっていうAVが最高かな。どこのシーンを観てもかわいくてエロいっていうのが素晴らしいじゃないですか。
――AVの話はやはり熱くなりますね。さて、ここからは風俗業界とのかかわりについて聞きたいと思います。監督は『スターグループ』という風俗グループのプロディーサーになられたそうですが、これはどういった経緯で?
さもあり:僕の作品に『今日これから…君の乳首、犯しにイクね』っていうシリーズがあるんですけど、ある日、『いまから君の乳首を犯しにいっていですか?』っていう風俗店をTwitterで見つけたんですよ。それを見た瞬間、「あ、パクられた!」って嬉しくなって、すぐにスターグループの会長さんのTwitterアカウントに「コラボしたい」ってメッセージを送ったんですよ。そうしたら「それじゃ会いましょう」って。それからすぐにプロディースさせていただくことになりました。
――プロデュースの内容というのは?
さもあり:新店舗の写真やロゴやコンセプトを考えたり、プロモーション用の動画を作ったりしています。いちばん大きな仕事は、各店舗の店長さんや女の子にSNSのやり方を教えることですかね。女の子には「どういった感じの写真をアップすればいいのか」とか、店長さんには「集客をするためのアカウント作り」とかを教えています。
――プレイ内容については言及しないんですか?
さもあり:それもしますよ。たとえば、「お客さんにはプレイの直前にシャワーを浴びてもらうのではなくて、女の子が到着する前にシャワーを浴びておいてもらった方がいい」とかですね。シャワーを浴びた直後って、肌が鈍感になるんですよ。だから、なるべく感じてもらうためにも、少し前にシャワーを浴びた方がいいと思うんです。それから、乳首を責めるのは後ろからの方がいいとか、道具の使い方とか男潮の吹かせ方とか、いろいろと教えています。
――AVで培った知識をフル活用しているわけですね。
――そういえば、監督は海外にも興味があるとか?
さもあり:単純に外国人の女性を撮りたいんですよ。海外に住んでいた経験もあるので、どうせなら向こうに住んじゃおうかなって。
――海外進出ですね。
さもあり:そんな大げさなものじゃないですよ。外国でAVを撮る、それだけです。
――これまでに海外挑戦した監督って、あんまり聞かないですよね。
さもあり:そうですね。日本でそこそこ売れて海外に行ったという監督の話は聞かないですね。まあ、そういう意味じゃ僕が初めてになるのかもしれません。一発目ってオシャレですよね(笑)。
――行先は決めているんですか?
さもあり:ドイツを考えています。あの国には「FKK(エフカーカー」っていう大型スパみたいな風俗があるんですけど、それがすごく楽しい場所なんです。そういう場所がある国って、いいですよね。
――世界中の風俗を巡ったライターのJOJOさん(※)も、FKKのすばらしさを熱弁されていました。監督は、夢のような風俗がある国でAVを撮るワケですね。
さもあり:チェコとかハンガリー出身のポルノ女優さんって多いんですけど、いずれもドイツから近いですしね。まあ、ネットがあればどこでもできるので、そんなにこだわってないんですけどね。
とにかく、日本のAVはやっぱりモザイクの問題もあって、なかなか世界で勝負できないと思うんですよ。だから、日本のエロを世界に広めるには撮る人間が外に出るのが早いかなって。女優さんの中にも海外を目指す人はどんどん出てくるんじゃないかな。やっぱり、ネットの進化でAVの見方も変わってきているので、稼ぎ方もどんどん変わるんだと思うんです。いや、変わらなきゃダメですよね。
(インタビュー=神楽坂文人・公式Twitterはコチラ)