堀之内・泡姫インタビュー! おとなの性教育をするセラピストソープ嬢:後編

フーゾクには女の子の数だけNo.1がある。そんな女のコたちの、普段は見れない素顔やモチベーションを探る《フーゾクNo.1ガール》

堀之内ソープランド『上流夫人』の美樹さん

性のアンバサダーNo.1 堀之内 美樹

【女のコデータ】
藤森美樹 40歳
サイズ:T160cm B88(E)・W58・H89
店キャリア:6年
風俗キャリア:20年
他:ファーストセラピスト

【店データ】
堀之内・ソープランド『上流夫人』
TEL:044-211-2421
営業時間:8時30分~24時
システム:入浴料90分1万円(税別)~
URL:http://jouryu-fujin.net/top/

 

※インタビュー前編は↓↓↓

キャミソールに胸が開いたチュニックを羽織り、スキニーパンツ姿でスタイルも良く、なかなかにセクシーなファッションの藤森美樹さん。笑顔にも可愛らしさが溢れる美樹さんは、ソープ歴20年になるベテランだ。経験豊富なだけに、どんな話が飛び出すか興味津々でインタビューを始めた。

世の中の男性はわかってない!
女性が本当に気持ちいいセックスとは?

 借金返済目的で飛び込んだソープランドの仕事。最初は闇の多い裏稼業と思っていたけど、すぐに気づいたのは人間味あふれる楽しい職業ということ。それから20年、ソープひと筋で働く藤森美樹さんの前に広がった新しい世界とは?

(前編より続く)

――風俗の世界に飛び込んで20年、常連さんやリピーターさんもいらっしゃると思うんですけど、自分のどういう面が評価されてると思いますか。

美樹:う~ん、やっぱり収入メインで考えてた時は、とにかく全部お客様に合わせようって感じだったし、全部受け入れようだったんですけど、今は性教育としてちゃんと伝えて行きたいっていう思いも大きくなってきたので、ちょっと違くなっていて…。

 おせっかいなんですけど、「こうする方がもっといいよ」っていう提案をするようになってきて、その結果、そのお客様が他の女のコに入った時に、より喜ばれたっていうのを報告にいらっしゃるんですよ。あと、女の子の方からも、「以前は荒々しい感じのお客さんだったのに、私のとこ入った後は、すごい触れ方が上手になった」とかね、言われると…。

――嬉しいですよね。

美樹:そういうのも嬉しいので、自分のとこに戻ってこなくても、お店には必ず戻るようにっていうのは意識して接客しています。その中で、私個人にずっといらしてくださる方は、もう、素の私を多分お気に召して頂いてると言うか…お互いの望むことが、うまく合致してるっていう印象は受けますね。でも逆に「教えてください」っていう意識でいらっしゃる方は、基本的にリピートされたくないぐらいに思っているんです。

――なんでですか?

美樹:だって、その意識で教えるときって、気持ちは教師に近いわけですよ。あくまでも、自分が伝えることを参考にして、パートナーさんとの関係性をより良くしてもらいたいっていう気持ちなので、私との快楽を求める為には戻ってきて欲しくないんです。またわからないことがあって教えて欲しくて戻ってくるならいいけれどね。自分の中では矛盾なんですけど。

――ある種、達観というか、ベテランさんでないと感じない心境ですよね。では、おっしゃってる「ファーストセラピスト」の仕事についてお聞きしたいんですけど、具体的には性教育でいいんですか?

美樹:そうですね。一言で言えば性教育だと思います。

――具体的にはどういう活動になるんですか。

美樹:性に対しての悩み相談的なカウンセリングが中心ですけど、お店の方にきて頂けたり、私の方がお伺いするとか。であればもっと具体的な部分の技術もお伝えすることもできますね。

――メンタルからテクニックまでってことですか。その活動はどれくらい続けてらっしゃるんですか?

美樹:そういう形でいこうって決めたのは5年前ぐらいですかね。

――それは、それまでの風俗での経験があって、悩んでるお客さんが多いからってことなんですか?

美樹:そうですね。きっかけとしては、体力的にいつかは卒業する仕事だって認識がある中で、じゃあどうしたらいいかなっていう話を、たまたま行きつけのカフェで常連のお兄さんたちとお話をした時に、「今までの経験を生かした仕事考えてみたら」って言われたのがきっかけです。

 私たちは仕事なので、お客様に対して基本的にはすべて肯定の表現をしますけど、ぶっちゃけ、(テクニック的に)残念だよねっていう方がほとんどなので。良かれと思ってやってくれているんだろうけども、それ痛いんだよ、くすぐったいんだよっていう部分がすごく多いので。

――お金を頂く側としてはそういう指摘はなかなかし辛い。それが積み重なった思いというか…。

美樹:そうです。まあ、お客様相手でもそうだし、プライベートの部分でもそうですけど、全てにおいて自分が接して肌が触れ合った男性全てにおいて共通して言えるのが、「みんななんか違うよね」っていう違和感なんです。

 もちろん大好きな彼氏と触れ合ってるときは、多少は微妙な部分も緩和されるし、お付き合いが長くなれば伝え合うコミュニケーションも取れてくるけど、「なんか違うんだよな」と、漠然とした何かがあったわけですよ自分の中で。

 でも、それに意識を向け始めて色々経験していくと、だんだん確信に近づいてきて、そうかここかと! それに気づけたので、「こういうことなんです」って体感した身だからこその説得力で伝えていこうと。

――なるほど。

美樹:それこそ20年もやってれば、数千人単位の方とお会いしてるわけですけど「あ、これは!」って言える男性なんて、もう数名いるかいないかなんですよ。ほとんどの方が間違ってる。「比較的上手」って思える方でも、あくまで「まし」なレベルで、根本の部分で理解されてないなって印象はすごく受けます。

 私がそういう活動していこうと決めてみんなに言ったら、女性陣みんなから「早くそういう本を書いてくれ」って言われたんです。本当に満たされてる女性が極々一部だったっていう証拠ですよね。

――本を?

美樹:そうです。今執筆中で、秋には電子書籍で出そうと思ってます。

――その女性方は、お仕事仲間だったりプライベートの友達だったりですか?

美樹:そうです。結婚してるけど全然セックスしてないし、触られるのもイヤっていう…。世の中に不倫が多いのも、性の部分のふれあいが最初の段階で歪んでいたんじゃないのかなって。噛み合わない部分を「愛する気持ち」的オブラートに包んでごまかし続けていたんですね。それが時間が経って愛情が冷めた時、耐えきれなくなって心も体も離れていくのかなって思います。

 それを突き詰めてくと深くて深くて。でもそれが楽しくてしょうがないんですけどね。私が長年ソープという職業をしているのは、これを伝えるための知識や経験を積むための必然だったのかなって。これからの人生、一生かけて私はそれを伝え続けようって思ってます。

――じゃあ、ソープ嬢としてのやりがいを感じる瞬間というのも、やっぱりそのあたりですか。

美樹:ソープのお仕事もセラピストの方のお仕事も、両方とも私の中ではサービス業だと思っているんです。看護師さんたちが生命を司るサービス業だとしたら、介護士の方々は生活を司る部分でのサポートのサービス業だし、私たちは性癖っていう部分をサポートする仕事だと思っているので。だから、結局はお客様の喜ぶ顔を見れるということですね。

――それは、性的に満足したお客さんの表情ってこと?

美樹:大人のテーマパークとしてお客様が求めるものを提供できた時に、心も体もリフレッシュして、楽しかった気持ちよかったっていう総合部分ですかね。

――それでは、風俗で働く女性の側から見て、お客さんが風俗をより楽しむには、どうすればいいと思いますか?

美樹:より楽しむ…何て言うんですかね、あんまり深く考えない方がいいのかな。例えばパートナーさんがいらっしゃる方であれば、そのパートナーさんとはできない趣味領域、例えば荒々しい部分だったり、本来だったら自分がリードしていかなきゃならないけど、リードされてみたいとか。

 非日常として楽しむもよし、日常の延長として女性とのふれあいを楽しみたいでもいいでしょうし、色々聞いてみたいでもなんでもいいですし。お店も昔よりもだいぶオープンにはなってきてるので、ルールの範囲内であれば何でもありだと思います。やりたいことを伝えたもん勝ちです!

――お客さんを満足させると、自分にストレスが溜まってくることってないですか。

美樹:自分自身に関して言えば、仕事に対するストレスはめったにないです。なぜなら、新人の女の子たちにも伝えているように、自分自身も一緒に楽しめるようにっていう意識のもとで過ごしているので。うちのお店、けっこう明るい女のコ多いから、喘ぎ声より笑い声の方が大きく聞こえる時もあるんです(笑)。

――楽しそうなソープですね(笑)。では美樹さんの心が解放される瞬間は?

美樹:温泉が好きなので、スーパー銭湯みたいなそういう露店風呂とか温泉に浸かって、「ハァ…」っていう(笑)。あと、自他共に認める肉食派なので、お気に入りのお店で美味しいお肉を食べてる時ですかね(笑)。

――最後に、美樹さんにとっての風俗とは?

美樹:性に関する喜びを提供できる場所っていうのかな。一般的には偏った性的嗜好の方でも、その欲求を満足できる唯一の場所。今はいろいろなそういうお店がたくさんあるので、自分好みの店を見つけて楽しんでいただけたらいいと思います。必要不可欠の職業だと思ってます。

――ありがとうございました。

 「マジメな話ばかりで大丈夫でした?」と気にされていたが、ひと言聞くと10どころか100になって返ってくる、そのレスポンスの良さと内容の広さ、深さ、経験の豊富さにこちらもつい引き込まれて聞いてしまった。実際、このインタビューも、半分ほどは削らさせてもらいました。残りの部分は実際に会いに行って聞いてみるべし。ボクもいろいろ教えてほしい…。

〈文・撮影=松本雷太〉

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