「旅館」だろうと予想はついていても、全ての旅館に「ちょんの間ですか?」なんて聞いて歩けるほど心臓に毛は生えていない。どうしようか考え始めたところで、いかにもな姿をした旅館を見つけた。
その旅館は、玄関灯が赤く光っていた。香川県高松市にあったちょんの間旅館も同じだったので間違いない。「たのもー」などと意を決することもなく、普通に「こんばんわー」と玄関を入って声をかけた。
廊下の壁に半分隠れるようにして現れたのは、20代後半から30代と思しきおデブちゃん。予想より若くて、逆に不安になり聞いてみた。
「あそべますか?」
「はい、どうぞ」
意外と早く見つかってホッとすると、今度はどんな女の子がいるのかが気になる。
「何歳くらいの人がいるんですか?」
ここで、「若い子で40歳です」と言われるのかと思いきや…。
「わたしです」
よかったのか悪かったのかは未だに謎のままだ。
暗いヤリ部屋は女の子の自室のような雰囲気。さすがに勉強机はないが、生活感が漂っている。料金は1万円。シャワーはなく、柔らかいベッドの上で紙おしぼりで股間を拭いてもらい、ゴムフェラからの正常位ハメだった。
彼女は本島の出身で、身バレしないように石垣で働いていると言った。確かに、沖縄県民は他の島に遊びに行ったりしないので、バレることはないだろう。しかし、旅行者といえど、石垣島まできてどんなおばちゃんが現れるかわからない裏風俗で遊ぶ男も少ないはず。一種のマニアに違いない。てことは、客の多くは石垣の男性ということか。
現在、十八番街のちょんの間旅館はすでになくなってしまったが、その代わり、デリヘルは10軒に増えている。十八番街のスナックも営業中だ。
〈写真、文=松本雷太〉