「えっ、何いっているの? 私のことはパパは知らないんでしょ?」
「うーん、実はしゃべっちゃった」
私は動揺した。まさかレナが私との関係をパパに話すなんて思っていなかった。
「なんでそんなことを…パパは激怒したんじゃない?」
「パパと会う前にエッチしてた人だって言ってあるから大丈夫。処女をあげたとかって話はしてないから、心配しないでいいよ」
「いや、そうはいっても…パパはどこまで知ってるの?」
「パパと知り合う前にちょっとの間付き合っていて、パパに乗り換えたって話になってる」
「でも、なんで私のことを?」
「あのね、前に言ったかもしれないけど、パパって変態なの」
確かにLINEのやり取りなどを聞いていると、50歳にしてストーカーのような行動をとったりと、パパはかなりの粘着気質のようだった。
「最近エッチしても勃たなくなっちゃったから、あたしが誰か他の人としているのを見てみたいんだって」
「それって、誰かがレナちゃんがエッチしているのをパパが鑑賞したいってこと?」
「うん」
なんという変態だろうか。
「それで、前にたけしさんとエッチしたことがあって気持ちよかったって話したの。そうしたら、会ってみたいって言うの。たけしさんも会社の社長さんだって話したら、全然知らない人とあたしがセックスするのはイヤだけど、前に抱かれたことのあるたけしさんならいいんじゃないかって」
「それって本気で言ってる? 前のエッチの相手にヤキモチ焼いて殴りかかってくるんじゃないの?」
「そんな人じゃないから、心配いらないよ」
「うーん、でもなあ…」
突然の話に私は戸惑っていた。私とレナのセックスしているところを見て、さすがにパパは冷静でいられないんじゃないかと思ったのだ。
「あのね、実はもう近くにいて、今から来てもいいかって聞いてる」
「えーっ!」
さっきからLINEでパパとやり取りをしているなとは思っていたが、まさか近くにいるとは。
「会うだけでも会ってくれないかなあ」
大変なことになったものだ。まあ居酒屋の中だし、いきなり暴力は振るわれないだろうと諦めることにした。
しばらくして現れたパパは、個室の扉を開くと「初めまして。田中です」と名乗った。 スマートにスーツを着こなしていて、私よりもちょっと老けた雰囲気だったが、想像していたよりずっと紳士的な男性だった。