以前、吉原にあったちょんの間旅館のことをここで書いたが、全国のソープランド街にも同じような旅館が残っている。神戸にある福原もそのひとつだ。
かつて「福原遊郭」と呼ばれていた関西最大の花街は、戦中に空襲で壊滅。その後、赤線として復活したものの、売春防止法の施行と共にトルコ風呂街(当時)へと移行して現在に至るという歴史を持つ。
場所は、地下鉄「新開地駅」近く。ちょんの間などの三業地があった町名「新地」「新町」などと似通ったその駅名からも、駅周辺の歴史が、うっすらとうかがえるものだ。
福原のソープ街は現在約70軒が営業中。午前0時、そのソープランドの看板が消えると同時に路地に現れるのが、ポン引きおばちゃんたちだ。その姿も、路地に立っていたり椅子に座っていたりと、意外と堂々としている。
そして、
「こんばんわ。まだ遊べるで」
とか、
「お兄ちゃん、遊びやろ。かわいい子おるで」
など、道ゆく男性を見かけると、すぐに声をかけてくる。吉原でもそうだったが、不思議なことに、ソープで一発抜いてきた時は全くと言っていいほど声をかけられないのに、抜いてない時はうっとおしいほど声をかけられる。男の表情とは、かくも千変万化するものなのかと、我ながら驚いてしまう…。