隔たりセックスコラム「アプリで出会った読者モデルとエッチ」
隔たり…「メンズサイゾーエロ体験談」の人気投稿者。マッチングアプリ等を利用した本気の恋愛体験を通して、男と女の性と愛について深くえぐりながら自らも傷ついていく姿をさらけ出す。現在、メンズサイゾーにて連載コラム「セックス物語」を寄稿中。「隔たり」というペンネームは敬愛するMr.Childrenのナンバーより。 |
ある女性とセックスした次の日の夜中。
家に帰ろうと歩いていると、昨日セックスした女性から急に電話がかかってきた。
なんだろう、と思って電話に出ると、騒がしい音楽と楽しそうな男女の笑い声が聞こえてきた。僕に電話をかけてきたその女性・ヒロミ(仮)は開口一番こう言った。
「今ね、クラブきてるの」
そうなんだ、とだけ僕は答える。その反応に対して、ヒロミは何も言わない。ただ騒がしさだけが、耳に流れてくる。
「今ね、クラブ、きてるの」
ヒロミがもう一度繰り返す。今度は何か大事なことを告げるかのようにゆっくりと。だからどうしたのだろう?と僕は思う。用があるなら、早く言って欲しい。酔っ払った男女の声が、僕の耳に流れてくる。
「男の人に、ナンパされちゃった」
クラブに行けばナンパされることくらいあるだろう。ヒロミの言葉に、僕はただ「うん」とだけ答える。電話の向こうは騒がしいのに、僕とヒロミの間には静けさが漂い始めていた。
「酔っ払っちゃった。今日、お家帰れないかも」
音が、消える。
そしてもう一度、ヒロミが言った。
「私…ナンパされちゃったんだよ?」
ああ、そうだった、と僕は思い出す。昨日、セックスする前にヒロミが言った言葉を。そして同時に、彼女が何度も「クラブでナンパされた」と話してくる真意を、悟る。
ヒロミは…僕に「嫉妬」してもらいたいんだ。
僕とヒロミは昨日セックスしただけの関係。それ以上でも、それ以下でもない。そんな浅い関係の僕に「クラブでナンパされた」とアピールすることは、とても不思議なことに思えた。
ただ、昨日のセックスの出来事を冷静に思い返せば、ヒロミの行動はある程度納得できる。僕が何気なく発した言葉を、彼女は重く受け止めていたのだ。
だからといってその次の日に、クラブでナンパされたアピールをすることはどうなのだろうか。嫉妬のさせ方としては強引すぎるし、愛情を確かめたいのだとしたら、そのカードを切るのは早すぎる。
そもそも、嫉妬をさせて相手の愛情を測るという行為は、平穏な未来を犠牲にしているようにしか思えない。いま愛されていると気づいたとしても、嫉妬という感情が続いていけば、確実に苦しくなっていく。そうやって嫉妬から崩れていく関係は、たくさんあるはずだ。
なぜ、自ら「嫉妬」させようとしてくるのだろうか。
なぜ、「嫉妬」という苦しい感情を相手の心に生み出して、自分が愛されてるかどうかを確かめようとするのだろうか。
「隔たりくん、私、ナンパされちゃったんだけど、どうしたらいいかな?」
またヒロミが同じ質問をしてくる。昨日のことを思い出して、僕は黙ってしまっていたようだ。質問について反応する気はなかったけれど、何度も聞かれたら面倒だなとも思い、僕は口を開いた。
「ヒロミは、どうしたいの?」
「えっ、どうしたいって?」
「ナンパされて、その男の人とどうしたいの?」
「どうしたいって…ナンパされたっていうことを話しただけだよ」
「そうなんだ」
「うん。あっ、そういえば結構イケメンだったの、その人。でも、けっきょく断っちゃったけどね」
ナンパされたということよりも、ちゃんと断ったということを先に伝えるほうが、愛情というものは深まるのにな、とぼんやり思う。
「ナンパされた」と言われるよりも、「断った」と、「あなたがいるから断った」と言われたほうが絶対に嬉しい。そう言われたほうが、自分を大切にしてくれた、と感じることができる。なのに…、ちゃんと断っているのに、なぜ「ナンパされた」ということを先に伝えるのだろうか。
僕はヒロミの彼氏じゃない。その事実が僕を冷静にさせる。もし、僕がヒロミの彼氏だったとしたら、今、相当傷ついていることだろう。
「ヒロミはかわいいから、イメケンの人に声かけられたんだろうね」
適当な言葉が口からこぼれる。相手の機嫌をとるための優しい言葉。本当に思っている言葉は口にできない。それはヒロミも僕も一緒だ。
「え、嬉しい! 隔たりくんは私のこと、かわいいと思うの?」
この言葉。ヒロミが昨日も聞いてきた、この言葉。ホテルのベッドの上で、裸で、股を広げて。僕がコンドームをつけてるとき、彼女は同じ質問を僕に聞いてきた。僕も同じように、昨日と同じ言葉を返した。
「うん、かわいいと思うよ」
僕とヒロミが知り合ったのは、マッチングアプリがきっかけだった。そのアプリは互いに「いいね」が押され合うと、メッセージのやり取りができるというものだった。
当時の僕はやる事も特になく、友達もいなく、ただダラダラと生きていた。暇つぶしにマッチングアプリを使い、誰かとつながることで自分の存在を確かめる。そんな日々だった。
女性に特別会いたいという訳でもなく、やり取りさえできていればそれで満足。職業も年齢も住んでる場所も違う、そういった女性とやり取りしているだけで、僕は楽しかった。何もない日々にちょっとした彩りを与えてくれていた。
僕がヒロミに「いいね」を押した理由は、彼女の職業の欄に「読者モデル」と書いてあったからだ。読者モデルの女性とお話できると考えただけで、僕の胸は高鳴った。
職業の欄は自分で選択できてしまうので、彼女が本当に読者モデルをしていたのか分からない。というのも、プロフィール写真のヒロミは読者モデルというよりも「読者モデルになりたい女の子」という印象だった。あまり可愛いとは思わなかったが、それでも「読者モデル」というワードは「いいね」を押すには十分な理由だった。
「いいね」を押したあと、ヒロミも「いいね」を押してくれて、僕たちはやり取りをすることになった。嬉しいことにむこうからお誘いがあり、僕はヒロミに会うことになった。
会った場所は下北沢。ヒロミが前から行きたかったというオシャレなカフェでご飯を食べた。その日の彼女は、不思議な柄のワンピースを着ていた。おそらくオシャレな人でしか着れないであろうその服を着こなす姿を見て、事実がどうであれ、僕はヒロミが「読者モデル」なんだと思い込むことにした。
カフェに入るなり、ヒロミはたくさん写真を撮り始めた。角度を変えて、何枚も何枚も撮る。撮り終わったあと、満足したのか楽しそうに自分の話を始めた。
「モデルの仕事はさ…」
「最近ね、社長やってる人にアプリでね…」
「知り合ったテレビのプロデューサーとね…」
ヒロミが口にする、強い言葉だけが耳に残る。
「モデル」「社長」「プロデューサー」。
彼女は何度も、そういった言葉を連呼した。その姿はどこか痛々しく見えた。彼女の発する強い言葉たちから、リアリティを全く感じることができなかったから。
不安なんだろう、と思う。そういった強い言葉で自分を固めていないと、自分が崩れてしまうのだろう。僕もそうしてないと保てない時期があったから、ヒロミの気持ちが痛いほどよくわかった。
自分が何者かわからない。だからわかりやすい肩書きを欲しがってしまう。その肩書きを持っている人たちと繋がることで、自分もすごい人間なんだと思える。
それについて直接話し合ったわけではないけれど、僕はヒロミにそういった印象を抱いた。多分、何かに繋がってないと生きていけない人。肩書きでも何でも、自分が存在していると分からせてくれるものがないと、不安になってしまう人。そういった彼女と繋がることは、僕にとって簡単なことだった。
店を出てヒロミを見る。読者モデルをしていて、社長ともアプリで繋がって、テレビの人と知り合いの彼女が、なぜ僕の目の前にいるのかと不思議に思う。何の肩書きもない、僕の目の前に。
それでもヒロミは僕に会うことを選んだ。そんな僕が彼女に与えれるものは、これしかない。
「このあと、どうする?」
「ね、どうしよっか」
「帰る?」
「えっ」
「ごめん。帰りたく、ないよね」
「うん、ちょっと寂しいかも」
「…泊まる?」
「…うん、泊まる」
ホテルに着くと、僕らはすぐにベッドへなだれ込んだ。
薄い唇が冷たい体温で僕の唇に重なる。それを包み込むように、僕はキスをした。華奢なヒロミの体を抱きしめ、胸を触る。ちょっとしか膨らんでないそれを、丁寧に丁寧に撫でる。小鳥が鳴くような声がヒロミの口から漏れた。その口を唇でふさぐ。
裸になり、互いの体に跡を残すように、僕らは絡まり合った。ヒロミの小さな手が大きくなった僕のチンコに当たる。その瞬間、獲物を捕らえるかのように、彼女は僕のチンコを強く握った。そして、小さな口で、一生懸命それを覆っていた。
「気持ちいいよ」
「ほんとに? よかった」
小さな彼女の顔に並んだチンコは、想像以上に大きく見えた。錯覚なのか、本当に大きくなったのかは分からない。ただ、読者モデルにフェラをされたという事実が、僕を興奮させることは分かった。
「いれるね」
ここまできたら繋がりたかった。欲しかったのだ。「読者モデル」とセックスしたという事実を。
それを得るために、僕はカバンからコンドームを出し、チンコにかぶせた。
「いれるの?」
「うん、いれたい」
「ねえ、隔たりくん」
「何?」
ベッドで股を開いているヒロミを見る。小さな顔、薄い唇、ショートでオシャレに巻かれた茶色い髪、少し膨らんだ胸、幼児体形のような身体、大きな瞳。
ヒロミはその大きな瞳で、真っ直ぐ僕を見た。
「隔たりくんは私のことどう思う?」
その視線から逃げられない。だが、僕は何も言えない。
「私のこと…好き?」
好きだよ、という言葉が空気のように僕の口からこぼれ出る。その言葉は口から出ると、すぐにどこかへ消えていった。
「隔たりくんは私のこと、かわいいと思う?」
この状態で、その質問をされてしまったら、答えはひとつしかない。その答えに、真実や嘘はどちらも入ってない。
「かわいいと、思うよ」
ホテル、裸、コンドーム…。この状態が、僕の中に都合のいい言葉を生み出す。それは簡単に僕の口から放たれた。
「付き合いたいくらい、かわいいと思うよ」
そう言ってチンコを挿入する。ヒロミの中は、とても狭かった。ゆっくり、ゆっくりと中に入れていく。もうすぐ全て入りきるというところで、ヒロミが細い腕で僕を抱き寄せた。そして、か弱い声で囁く。
「じゃあ、付き合ってくれる?」
その言葉と同時に、僕のチンコはヒロミの奥に達した。ヒロミの全てが、僕を強く締め付ける。僕も壊れてしまいそうなほど華奢なヒロミの身体を強く抱きしめた。…この行為をヒロミは「うん」と捉えたのだろう。
だから、ヒロミは僕と付き合ってると思っている。
だから、ヒロミは僕を嫉妬させようとしてくる。
そう考えれば、「ナンパされた」と電話してきたヒロミの行動は全て納得できた。
「今から会える?」
「え、うん、会えるけど…」
「どこのクラブにいるの?」
「えっと、神奈川の」
「そっちに行くよ」
電話越しのヒロミにそう伝え、神奈川に向かう。彼氏として、とか、嫉妬したから、というわけではない。ヒロミとセックスしたくなったから、ただそれだけだった。
昨日の夜、僕とヒロミは3回セックスした。1日に3回もセックスするのは、とても久しぶりだった。大きな胸があるわけでも、抜群のスタイルを持ってるわけでもない。なのに、僕はヒロミと1日で3回もセックスをした。そして今も、セックスをしたいと思っている。
ヒロミと合流すると、すぐにホテルに入ってセックスを始めた。1、2、3回と、その日は朝まで、計5回セックスした。
朝方の5回目のセックスのとき、僕は生でヒロミに挿入した。もうすでに何度も出していたので、全く射精感に襲われない。バックの体勢で小さなお尻を持ち、僕は何度も腰を振る。そして最後にちょびっとの精子を、彼女のお尻に出した。
2日で、8回。
こんなにセックスしたのは初めてだった。
可愛い人としたときも、もの凄い変態な人としたときも、こんなにたくさんセックスしたことはなかった。不思議だった。なぜこんなにたくさんヒロミとセックスできたのか。それは今でも、よく分からない。
ホテルを出たあと、「こっち側で用事があるから」と嘘をついて、僕はヒロミと違う方向の電車に乗った。賢者モードになっていて、少しでも早くひとりになりたかった。
電車に乗ると、ヒロミからすぐにラインが来た。
「来てくれてありがとう」とか「大好き」とか、そんなラインだろうと思った。だが、僕の楽観的な予想は大きく裏切られた。
「隔たりくん、私たち、もう別れよう」
昨日、セックスする前に「付き合ってくれる?」と言ったヒロミ。
次の日の夜、クラブから電話をかけてきて「ナンパされた」と嫉妬させにきたヒロミ。
かけつけた僕とホテルに泊まって、そのまま朝まで何度もセックスしたヒロミ。
そんなヒロミが、今このタイミングで「別れよう」と言う。とても意外だった。
「どうしたの急に?」
「どうもしてないよ。別れた方がいいって思っただけ」
「なんでそう思ったの?」
ヒロミは何を思ったのだろうか。
「だって、隔たりくん、私のこと好きじゃないよね」
ヒロミから送られてきたラインの文字を見る。なんて返せば正解なのだろうか。迷っていると、再びラインがきた。
「セックスしたいだけなんでしょ?」
その文字は、僕の胸を強く貫いた。図星だった。たしかにセックスできればいいと思っていた。付き合う気なんてなかった。それでも、否定したい自分がいる。
「そんなことないよ。セックスしたいだけじゃない」
なんとかそうラインを送る。2日で8回セックスした女性を、まだなんとか繋ぎ止めていたい。
「嘘だよ」
あの電話での、嫉妬させようとしていたヒロミは、どこにいったのだろうか。
「だって、隔たりくんは嫉妬しなかった」
そもそも、元からいなかったのだろうか。
「勢いで聞いてしまった私も悪いけど、でも、隔たりくんの気持ちがまったく分からなかったから」
嫉妬させようとしたわけじゃなくて、
「だから試したの」
試されていたのか。
「試すような真似してごめんなさい」
ヒロミは僕と曖昧なままセックスをしてしまった。だから、この関係をハッキリさせるために、少々強引な手段を使ったのだ。
でも、ひとつの疑問がどうしても拭えない。
「じゃあ何で泊まってセックスしたの? しかも5回も」
文字だと感情が見えづらいから、どうしても強い口調のようになってしまう。でも僕は単純に知りたかったのだ。嫉妬しなかった僕と、なぜセックスをしたのか。そして5回も。
「来てくれて、嬉しかったの」
ヒロミからすぐにメッセージが返ってくる。考えてから送ることができるのに、彼女はすぐに返してくる。つまり、反射的に返ってきたこのメッセージは全て、彼女の本音なのだろう。
リズムを刻むように、彼女からのメッセージが、僕の携帯画面に浮かび上がる。
「だから泊まったの」
「セックスしたけど」
「やっぱりダメだった」
「悲しくなっちゃった」
「セックスしたいだけなんじゃないかって」
「やっぱり」
「あいまいは嫌」
「普通の恋愛がしたい」
最後のメッセージが全てなのだろう、と思った。
彼女にとっての「普通の恋愛」がどういうものかは分からない。ましてや「普通の恋愛」なんてものがあるのかすら分からない。でも、僕との関係は「普通の恋愛」ではない。それは確かだった。
僕はもう、ヒロミに会うことはないだろう。たとえもう一度セックスしたいと思っても、彼女は僕に会ってくれないだろう。今、どれだけの言葉を重ねたって、彼女には響かないだろう。
それでも、どうしても気になってしまうことがある。それを聞くのは、ただ自己満足かもしれない。ヒロミ、いや、女性にとっては、どうでもいいことなのかもしれない。
でも、僕にとっては大事なこと。
「セックスは、気持ちよかった?」
どんな関係だったとしても、セックスでは喜んでもらいたい。その瞬間だけは、幸せであってほしい。都合のいい考え方かもしれないけど、僕にとって、それは本当に大事なことだった。
少し間があって、メッセージが届く。
「気持ちよかった」
そして、もう一通。
「そうじゃなきゃ、5回もしないよ」
ヒロミが「ナンパされた」と電話してきたのは、僕を試すためだった。嫉妬するのかしないのかを知ることで、僕が彼女にとって「普通の恋愛」ができる存在なのかを彼女は知ろうとした。その行動を僕は「なぜわざわざ嫉妬させるのだろう?」と、ただ疑問に思うだけだった。
ヒロミの言う「普通の恋愛」の関係ならば、その行動をする必要はなかっただろう。でも僕とヒロミのような曖昧な関係をハッキリさせるためには、彼女のとった行動は正しかったのかもしれない。
恋愛って、男と女って、なんて難しいのだろう。
普通の恋愛がしたい人、寂しさを埋めてくれる存在が欲しい人、ただセックスだけしたい人…。
その他にも、色々な欲求を持った男女が「恋愛」という枠の中で、出会っていく。誰がどんな欲求を持っているかなんて分からない。普通の恋愛をしたい、という仮面を被って、セックスしたいと近づいているのかもしれない。その欲求を探り合いながら、愛し合い、裏切り、傷つけ合い、自分の欲しい関係を求めていく。なんて難しいのだろう。
もし、本当に愛し合えている関係を築いているのであれば、それはもう奇跡に等しい。
いつかそんな関係を、僕も築けるのだろうか。
それから何カ月後、ふと、ヒロミのことを思い出した。
何気なくInstagramで検索してみると、ヒロミのアカウントを見つけることができた。
ヒロミのアカウントをタップすると、僕と出会った時と同じような特徴的な服を見にまとった彼女の写真が、ズラッと画面に並んだ。
何気なくスクロールしてみると、ひとつの画像に目が止まった。それは、僕とヒロミが行った下北沢のカフェの写真だった。
その写真をタップする。男の僕にはわからないようなオシャレなハッシュタグの後に、写真の投稿された日付が書かれていた。
「これ、あの日の写真だ…」
その日、たしかに僕らはこのカフェにいた。そしてその後、セックスをした。そして翌日もセックスをした。すべて、ここのカフェから続いている物語だ。
僕とヒロミの記憶が、この写真の中にある。彼女は消すことなく、この写真をInstagramの中に留め続けている。彼女は気にしていないのかもしれないし、忘れているだけなのかもしれない。けれども、確かに彼女の歴史の中に、僕がいる。
ヒロミは僕のことを覚えているのだろうか。一瞬でも彼氏と思った僕のことを、一晩で5回もセックスした僕のことを、覚えているのだろうか。
僕はいつかヒロミのことを忘れてしまうかもしれない。でも、今は覚えている。嫉妬はしなかったけれど、付き合わなかったけれど、たった2日しか会ってないけど、そんなヒロミのことを、僕は覚えている。
もし、ヒロミも僕のことを忘れてないとしたら、それはいったいどんな記憶として残っているのだろうか。良い思い出だろうか、悪い思い出だろうか。
おそらく悪い思い出だろうが、それはそれでいいと思う。願うことは、僕との出会いがきっかけとなって、彼女の望む「普通の恋愛」にたどり着いていて欲しい。この出会いが彼女の人生を少しでもいい方向へ導いるのだったら、それでいい。
都合のいい考えなのは分かっている。でも、彼女の人生の中に、僕との出会いがあったことは確かだ。だから彼女が今幸せならば、僕の出会いがそれに繋がったと少しでも信じていたい。
ヒロミの最近の投稿を見直す。ぎこちない笑顔ではあるけれど、彼女はちゃんと笑っていた。そういえばぎこちなく笑う子だったなと、この時になって思い出す。
そのヒロミの笑顔に僕は「いいね」を押した。
今の彼女の人生を邪魔しないように、心の中で。
(文=隔たり)
↓隔たり名作エロ体験談!
何度か「可愛くない女性」とのセックスを投稿させていただいた。改めて思い出すと、可愛くない女性とのエッチの後には、すさまじい賢者モードが待っていたなと。まあ、それは避けられないことなのだろう。当時の僕は、自信がなかった。可愛い子とセックスできる自信が、まったくなかったのだ。
「1日に複数の違う女性とエッチしたい」と思ったことのある男は多いだろう。僕は自分の性欲を自覚して以来、その複数人との行為がずっと憧れだった。それを見事に実現した日のことを話したい。それは、恋人たちの聖なる夜・クリスマスのこと。大学生3年生だった僕は、1つ年下のゆか(仮)と六本木でデートをした。
青姦なんてありえない、そう思っていた。 中学校の同級生の女の子が公園でシてたとか、高校の同級生の女の子が地元の河川敷でシてたとか、そういう話を聞くたびに「ありえない」と思っていた。なんで外でするのか、僕には分からない。