セックス体験談|すべては女の子の口から始まる

隔たりセックスコラム「すべては女の子の口から始まる」

隔たり…「メンズサイゾーエロ体験談」の人気投稿者。マッチングアプリ等を利用した本気の恋愛体験を通して、男と女の性と愛について深くえぐりながら自らも傷ついていく姿をさらけ出す。現在、メンズサイゾーにセックスコラムを寄稿中。ペンネーム「隔たり」は敬愛するMr.Childrenのナンバーより。


※イメージ画像:Getty Imagesより

 僕は女性が何を考えているか、全く分からない。

 女性の気持ちを考えてみても外れた記憶しかなく、けっきょく「違う!」ときれいに打ち砕かれてしまう。人の気持ちになって考えろと言うけれど、何度考えたところで、女性の気持ちは分からない。

 それに比べ、男は単純で分かりやすい。

 機嫌の良い時はよく喋るし、悪い時は分かりやすく拗ねる。自分の好きなものはこれでもかと語り、興味のない話には気のない返事ばかりする。男は感情や気持ちがそのまま行動にあらわれるのだろう。だから分かりやすい。そして、その行動に深い意味などなかったりする。

 そんな男を女は分からないと言う。


なんで彼女がいるのに他の女と遊ぶの?

なんで風俗に行くの?

なんでしゃべってくれないの?

なんでこんなに合図を出しているのに、気づいてくれないの?


 なんでって、そんなこと、男からすれば当たり前なことなのに。

 他の女性は友達だから遊ぶ。ムラムラすれば風俗に行きたくなる。しゃべらないのは単純に話題がないから。気づかないのは単にその合図に気づいてないから。

 単純な思考なのに何で分からないのだろう?と思ってしまう。

 でも「男は単純でわかりやすい」と僕が思ってるのは、当たり前だが、僕自身が男だからなのだろう。逆にいえば、僕は男だから、女の気持ちが分からないということになる。

 もし本当にそうだとしたら、それはなんだか寂しいことのように思える。男と女の間には、常に「隔たり」が存在してしまっているのか。その男女間の隔たりを越えられないまま、僕たちは生きていかなければならないのか。

 大学2年生のとき、当時付き合っていた彼女が衝撃的な言葉を僕に放った。

 その言葉を僕はすぐに理解することができなかった。もしかしたら今もなお、理解できていないかもしれない。

 その言葉はデートの終わり際、彼女の家の前で放たれたものだった。

 その日、彼女はヒールの高い靴を履いていた。デート中、何度か足が痛いような仕草をしていたので、「足痛いの? 大丈夫?」と聞いた。周りを見渡したが座るところはない。靴を脱がせば楽になると思ったが、靴を履かないと歩けない。僕はどうすればいいか分からなかった。

 すると彼女は、


「大丈夫」


 と答えた。「ちょっと痛いけど、大丈夫」、そう言って笑ってくれた。

 だから僕は少しホッとした。そうか、大丈夫なのか、と。でもまた痛くなるかも分からない。僕は「無理しないでね」と彼女に伝えた。彼女は何も言わず、軽く微笑んだ。

 その後も痛そうな仕草をするので、その度に僕は「大丈夫?」と聞いた。彼女は何度も、


「大丈夫」


 と答えた。僕は、大丈夫なら良かった、と単純に思っていた。たが振り返れば、彼女の答える顔はだんだん歪んでいたかもしれない。でも僕はそれに気づかなかった。

 そして、そろそろ帰ろうかと駅に向かったとき。地下鉄で帰ろうと思ったので、僕らは階段を降りなければならなかった。


「エレベーターで降りる?」


 階段の横にエレベーターがあったので、彼女にそう聞いた。足が痛いなら、エレベーターの方が楽だろうと思ったからだ。僕なりの優しさだった。だが彼女はこう答えた。


「大丈夫」


 彼女はそう言って階段の方に歩いていった。慌てて僕も彼女についていく。彼女は顔を歪めながら、痛そうに階段を降りていた。なぜエレベーターを拒んだのだろう。僕には分からなかった。

 そこから僕らはずっと無言のまま。彼女は明らかに不機嫌だった。でもその理由が何かすら、僕には分からない。

 けっきょく、無言のまま彼女を家まで送った。さすがに僕は心配だったので、改めてもう一度聞いた。


「足痛いの大丈夫?」


 彼女は「大丈夫」と答えたが、不機嫌な顔をしたままだった。僕にはその理由が分からず「どうしたの?」と聞いた。

 その時、彼女が僕に言い放ったのだ。


「大丈夫は…大丈夫じゃないの!!!」


 大丈夫は大丈夫じゃない。大丈夫なんだけど、大丈夫じゃない。大丈夫なのに、大丈夫じゃない。いったいどういう事なのか、僕には理解できなかった。

 天邪鬼みたいなものか?と一瞬思ったが、そんな単純なことではない気がした。全てが逆を言ってるわけではない。あの時だけ、彼女は大丈夫と言いながら、大丈夫じゃなかったのだ。


じゃあ、なぜ大丈夫じゃないのに、大丈夫と言ったのだろう?


 考え続けていても、簡単に答えなんて出なかった。その言葉の意味を理解できないまま、僕は彼女と付き合い続けた。彼女はあの日の出来事を忘れてしまったのか、今までと同じように僕の隣にいた。

 彼女が言った「大丈夫は大丈夫じゃない」。それを聞いてから「大丈夫」という言葉は、普段の会話の中で頻繁に使われていたことに気づく。


今度あそこに一緒に行きたいと思ってるんだけど

うん、大丈夫だよ

今日の夜ご飯、ここでいい?

うん、大丈夫

今日エッチしたいんだけど、いい?

大丈夫だよ


 その「大丈夫」という言葉は、本当に「大丈夫」なのか、僕にはもう分からない。「大丈夫」と言われると、全部が「大丈夫じゃない」と言われている気分だった。次第に会話の数は減っていった。

 それでも男と女というものは、本当に不思議だと思う。そんな状況でも、セックスをしようとするのだから。

 「大丈夫は大丈夫じゃない」と言われてから初めてセックスするとき、なんかいつもと違う気がした。

 キスや愛撫をしていても、ものすごく相手の反応が気になってしまう。本当に気持ちいいのだろうか、本当は嫌なんじゃないだろうか。ビクビクと、彼女の反応を気にしながら前戯をしていた。全くセックスに集中できなかった。

 そして挿入するとき。

 急に大きな不安感が僕を包んだ。本当にこのままいれていいのだろうか、と。

 男は女の気持ちが分からない。女も男の気持ちが分からない。分かり合おうとしても、必ずズレが生じる。男女の間には隔たりが存在している。それは仕方のないことなのかもしれない。

 でも、それでも僕らは「繋がりたい」と思っている。セックスとは、相手と繋がる行為だ。相手の気持ちは分からないけど、僕らは繋がろうとする。気持ちは分からないけど、気持ちよくなりたいと思ってしまう。身体的に繋がって、相手のことを知ろうとする。精神的な距離も、同時に縮めようとする。身体的にも精神的にも、僕らは繋がりを「異性」に求めてしまう。

 それはものすごく不思議なことだ。そして同時に思う。「女の気持ちが分からない」と考えることを放棄しながらも、挿入はさせて欲しいというのは、ものすごくエゴなんじゃないか、と。

 けっきょく考えすぎてしまったのか、うまく勃たずに挿入できなかった。


「大丈夫だよ」


 彼女はそう言って、僕にキスをした。この大丈夫はどういう意味なのだろう。分からない。分からないけど、嬉しかった。僕は彼女を抱きしめ、キスをした。

 この日から、僕は真剣に女性の気持ちを考えようと思った。


そもそも女はどういう生き物か? 女はどう物事を考えるのか? 女の身体はどうなっているのか? 女と男は何が違うのか。


 不思議なことに、そういったものを考え始めてから、セックスで喜んでもらえることが増えた。テクニックなんてひとつも学んでない。ただ女性というものを考えただけだ。それでも喜んでもらえたということは、僕のセックスに対しての心構えが変わったのだろうか。

 セックスにテクニックは必要ない。なんとなく耳に入っていた言葉の意味を、初めて理解できた気がした。


『女の気持ちなんて分からない』


 確かにそうだ。僕は男だから、一生女性の気持ちなんて分からないと思う。

 それでも考えることはできる。想像することはできる。分からなくても、できることはたくさんある。

 もし、女性の気持ちを全部理解できても、僕の世界は何も変わらないかもしれない。僕がどれだけ歩み寄ったとしても、女側も歩み寄らなければ、完璧ではないのかもしれない。

 それでも、その半分まではちゃんと歩み寄ろうと、僕は思う。そうすることで、女性も男側に歩み寄ってくれると信じたいから。

 だから僕は今日も、女性の気持ちを考えて続けている。

(文=隔たり)

↓隔たり名作エロ体験談!

 僕が童貞を捨てたのは大学2年の5月のこと。当時、僕には同級生の彼女がいた。その彼女は処女だった。童貞の僕と処女の彼女。セックスをしたい、そう告げてから何度もトライした。

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 メンズサイゾーの【エロ体験談】で、前人未到の賞金レース6連覇を達成した常連投稿者・隔たり。投稿すれば賞金ゲットというほどの人気を誇った彼のことは、エロ体験談愛読者の皆さんであればよく覚えていることだろう。

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