G20大阪サミットが開かれた6月28、29日、交通規制等で大阪市周辺の市民生活もさまざまな影響を受けた。その中のひとつで、テレビ等のメディアでは伝えられないものの一部で話題になったのが飛田新地の全店営業自粛だ。
飛田新地といえば、いわずと知れた関西を代表する「ちょんの間」である。個人的には「世界に誇るちょんの間」と言ってもいいくらいだと思うが、今回自粛したということは「あえて世界に誇ることもないカナ?」という判断があったのだろう。
混乱を防ぎ秩序を保つためということで、昨年11月には、各店舗が加盟する飛田新地料理組合が営業自粛を決めたという。飛田新地が営業を自粛するのは昭和天皇が崩御した1989年以来30年ぶりであり、これはある意味で歴史的な出来事だ。
少なくとも飛田新地の全店舗が休業している様子が見られるのは、今この時を置いてほかにない。その街並みがどのようになっているのかを確認すべく、G20開催期間の飛田新地へと足を伸ばした。
飛田新地へ向かうスタート地点はJR天王寺駅である。まず驚いたのは、あべの筋を越える歩道橋が閉鎖されていたことだ。
JR天王寺駅から飛田新地へ向かうには、この大きな歩道橋であべの筋を渡っていくのが楽なのだが、それが使えないとなれば地下道をぐねぐね行かないとならず、ちょっとめんどくさい。いきなりG20の影響大である。
蒸し暑い中たどりついた飛田新地の街並みは、想像以上に閑散としていた。どの料亭も戸をしっかり閉めており、そこには全店休業の告知ポスターが大きく貼られている。中の電気がついているお店もあるが、人の気配がないお店がほとんどだ。