夏になったころ、風邪でお世話になったときのお礼に「渡しなさい」と実家からブドウが届いた。
それを持って真理香さんの部屋に行くと、「お茶でも飲んでいかない?」と誘われた。
真理香さんは、「果物なんて久しぶり!」「おいしそう!」とブドウを喜んでくれた。それから話が弾み、彼女の夢や学生時代のことを聞いた。
そうこうしていると、
「彼女はいるの?」
と真理香さんに聞かれた。
突然の質問に戸惑っていると、
「もしかして童貞だったり(笑)」
と彼女が言う。僕は恥ずかしくなったが、別に悪いことじゃないと開き直り、「そうですけど」とちょっぴり不貞腐れながら答えた。
すると彼女は「ごめんごめん」と謝ってきた。それでも僕が不機嫌な顔をしていると…。
「ごめんね。変なこと言って」
真理香さんが急にマジメな顔をして近寄ってくる。そして、
「傷つけちゃった? ホントにごめんね」
と僕の膝をさすってきた。
それでも僕が黙っていると、
「もしよかったら…私と、してみる…?」
と彼女が言う。僕は何のことかさっぱりわからなかった。