フィルムから現像できるコースもあったが、筆者が利用したのは焼付けのみのサービスだった。街のDPE店では、ネガ現像まではやってくれる。それでも、ネガを受け取るまではビクビクしたものだ。
店の奥に、実際の「作業場」がある。暗くて、一人が座れる程度のスペースだ。脇に操作手順を説明したカードが置かれている。それを見ながら操作する。わからない時は、従業員を呼べば丁寧に教えてくれる。
そうして、そこにある装置に、ネガをセットして現像する。すべての画像を現像か、指定した画像のみを現像するか、それから写真のサイズなどを選択する。そうした作業の最後に、「現像」のボタンを押す。自分で現像といっても、実際には機械が全部やってくれる。自分で引伸機を操作したり、バットに竹ピンセットで印画紙を沈めたりすることはしない。
ただし、現在のデジカメプリントのように、すぐに写真が仕上がるわけではない。焼き付けから乾燥まで、30分から45分くらいかかる。その間は外出してかまわない。
時間になってラボに戻ると、写真ができている。この際、「使ってください」と白手袋を貸してくれる。確認の際に、指紋がつかないようにするためだ。確認したら、用意されたアルバムと紙袋に写真を収めて持ち帰る。料金は、焼き付けだけで3800円から4500円くらいだった。街のDPE店に比べるとかなり高い。
しかし、90年代末頃からのデジカメ普及とともに、このサービスも需要を失った。そして2000年代初頭には、すっかり消滅してしまったようである。
画像がデジタルとなった現在では、その保管も極めて簡単かつ便利だ。以前は、ネガやポジのフィルムの置き場所や持ち運びにも非常に苦労したものである。何百枚、何千枚もの画像を、パソコンや外付けハードディスクに保存できて、必要ならSDカードやスマートフォン、USBメモリに収めてどこにでも持ち運べる。昔ならダンボール数箱になったものが、ポケットに入れて運べるわけである。夢のように時代になったものだと、古い人間の筆者はしみじみ思う。
(文=橋本玉泉)
フーゾクを利用する際の情報源として、かつては大きな影響力を持ち、そして現在ではほとんど消滅してしまったものがふたつある。ひとつは三行広告。もうひとつはピンクチラシと呼ばれるものである。