数時間後。布団で寝ていた僕は、チャイムの音で目を覚ました。
誰だろう?
このとき僕はSNSでのやり取りをすっかり忘れていて、宅急便か何かだと思った。
重い体を起こし、玄関の覗き穴から外を見る。そこには、ひとりの美女が立っていた。
は? 宗教の勧誘か?
一瞬混乱したが、ここでSNSでのやり取りを思い出して玄関を開けた。
「はじめまして。急にごめんなさい。さっきSNSでメッセージを送った結衣(仮)です」
「…」
言葉を失うくらい驚いた。目の前に立っていたのは、黒のロングスカートをはいた20歳前後の若くて美しい女性だったのだ。
思わず、寝癖のままでヒゲも剃っていない自分が恥ずかしくなる。それでも、なんとか平静を装って差し出されたコンビニの袋を受け取った。
「あの…上がってもいいですか?」
「え! あ、はい…」
「食事、作りますね」
「あ、ありがとうございます…」
結衣さんは狭くて汚い部屋に上がり、台所に立って料理を始めた。