風俗で働こうとする女のコの志望動機の多くは「お金」だ。そして彼女らは、できれば手っ取り早くお金を稼ぎたいと考えている。
つまり、エロいことが好きだから風俗で働いているわけではなく、「性的なサービスに特別抵抗がない」というだけのこと。
だが、時々ではあるが、“自身の性欲をぶつけるために風俗で働いている”…そんな男性の妄想を具現化したようなコも現れる。
【風俗嬢と体の関係~まことの場合~】
面接室の扉を開けて入って来た女のコは、とても美しかった。
胸元まで伸びる長くて綺麗な茶髪に、服の上からでも分かるスタイルの良さ。まるでファッション雑誌から飛び出してきたような容姿だった。
「どうぞ、おかけ下さい」
「あっ、すいません。ありがとうございます」
「えっと、お名前は…まことちゃんで良かったかな?」
「そっ、そうです。よ、よろしくお願いします」
見た目とは違い緊張しやすいタイプなのか、唇を軽く噛みながら落ち着かない様子。体中に無駄な力が入ってるのが分かった。
「あはは。そんなに緊張しなくても大丈夫だよ。風俗は初めてなんだっけ?」
「は、はい。…すみません。そうですね、初めて応募します」
「どうして風俗で働こうと思ったの?」
「お金がたくさん貰えるっていうのもあったんですけど…」
「うん? 他に何かあるの?」
まことは少し間を置いてから口を開いた。
「実は私、変な性癖があって…」
「変な性癖?」
「その…自分でしてるところを見られるのが好きなんです」
「自分でって…。あっ、オナニーのこと?」
「あ…は、はい…。いや、やっぱり変ですよね。すみません」
手をブンブン振りながら、必死に自分の発言を否定するまこと。
「いやいや、そんなことないよ。そういう人、結構いるよ」
「えっ、ほんとですか!?」
“結構いる”わけではないが、変に否定するよりは安心させておいた方がいいと思った。
頭の中で精一杯話を考えながら会話を続ける。