【ようやく認められたNの実力】
悔しくて仕方なかった表彰式から3カ月が経ったある日、朗報が入る。
それは、“風俗店グループだけ”の表彰式が半年に一度開催されるという話だった。
前述した年に一度の表彰式は、風俗店だけでなく、ホストクラブやキャバクラ、スカウトマンなどの他業種も混合になったもの。今回は風俗店グループだけということで、純粋にどの店が優れているかを競うことになる。
ようやくNがスポットライトを浴びる日が来た…。
私は高鳴る気持ちを抑えつつ、Nを店の看板嬢としてエントリーした。
…
……
そして迎えたイベント当日。結果は…
ダントツの優勝だった。
出勤のたびにロングコースで予約が埋まる彼女は、この日のために顧客に営業を掛けてオプションをつけてもらうなど、単価を上げる作戦を決行。その努力は実を結び、他を寄せ付けない圧倒的なまでの稼ぎを叩き出したのだ。
「Nちゃん、本当におめでとう!!」
「店長が協力してくれたおかげだよぉ!」
私たちは肩をたたき合い、喜びを分かち合った。
オープン当初、客がほとんど来ないなか、共にどうすればいいのかを考え、少しでも店を盛り上げようと協力し合ったパートナーだからこそ、本気で喜ぶことができた。
しかし、この数カ月後、私と彼女は別々の道を歩むことになる。
ここまで協力し合ったのに、なぜ袂を分かつことになったのか。そして、なぜ彼女がここまでお金持ちのお客様を射止めることができたのか。それはまた、別のお話…。
(文=小鉄)
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