【元デリヘル店長の回想録】下積み時代に経験した風俗嬢からの理不尽な仕打ち

【面倒なプライドを持ち続ける元人気嬢】

 一時期は超売れっ子で、一度風俗を辞めたものの復帰した「ナオ」という女のコがいた。

 彼女が引退したのは22歳で、28歳の時に同じ店で復帰。当時その店は若専で、18歳~22歳くらいまでがメインだったため、完全に浮いていた。

 しかし、ナオを知る店長は「アイツならまた絶対売れるから」とゴリ押しで再入店させ、その管理役として私を抜擢。それから地獄のような日々が始まった。


「もともと私はこの店でNo1だったの。アンタ、ちゃんと仕事できんの?」


 当時のプライドがそのまま残っているのか、いきなり初対面から上から目線。

 たまらず言い返しそうになるが、ことを荒立てて面倒を起こしたくない。私は笑って適当に返事した。


「ヘラヘラしてんじゃないわよ! とっとと仕事つけてよね」


 元No1なら、営業客のひとりくらい引っ張って来いよ。と、心の中で悪態をつきながら、毎日仕事をこなした。

 出勤してくる度に、


「はぁ!? 今日もまだ予約ないの?」

「お前ちゃんと仕事しろよ! 仕事取ってくるのが義務だろ!!」


 などと、腹を立てては暴言を繰り返すナオ。さらに、仕事を取ったら取ったで、今度はその客の愚痴を毎回事務所で聞かされる。


「さっきの客、最悪! 部屋汚いし臭い! あんな客つけんなよ!!」

「金のない貧乏な客ばっかりつけるな! もっと金回りのいい客つけて!」


 普通じゃ考えられないセリフばかりだが、No1だった過去が捨てきれないのだ。

 この時、彼女の本指名はゼロ。かつての栄光はどこへやら、これが現実だった。

 毎日新規の顧客をつけては愚痴と文句を聞き、仕事が入らなければクズだのバカだの暴言を吐かれる…。いま思えば、よくあんな理不尽に耐えきったものだ。

 この関係が終わったのは、彼女の入店から3カ月が経った頃だった。

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