「それにしても久しぶりだね」
「ほんとにね。あたしも何かと忙しかったからさぁ」
「専業主婦だったのにパート始めたんだっけ?」
「うん。家でひとりでいてもつまんないし、遊ぶお金も作りたくてさ」
2年ほど前、結婚を期に風俗を辞めたアカリ。
抜群のルックスと人当たりのいい性格で、常時ランキングTOP3に入る実力者。特にお金持ちの太客を捕まえるのが上手く、ロングコースや貸し切りも珍しくなかった。
そんな彼女とは、私がまだスタッフだったころに出会い、何かと話が合った。飲みにいって仕事の相談に乗ったりしているうちに、従業員という枠を超えて友達になった。
彼女が風俗を辞めてからも、たまにこうして食事に出かけたりしていた。もちろん、ただの友達ではない。セックスフレンドだ。
※ ※ ※
久しぶりに会ったので、近況報告しながらの昼食となった。
口を大きく開けてステーキをほおばるアカリ。
私は彼女のこういった飾らないところが好きだった。
「んー、美味しい! 小鉄はいいもん食べてるねぇ」
「アカリだって、昔はこういうの食べまくってたでしょーに」
「まぁねー。でも、今は頻繁には来れないなぁ。普通の事務だし」
「風俗復帰は考えてないんだっけ?」
「あーないない。ばれたら面倒だし」
「でも、俺とのセフレ関係は続けるんだ(笑)」
「いやぁ~。ほら、そこは触れないお約束ですよ(笑)」
気心が知れた仲ならではのやり取りに、自然と愛しさが増していく。
食事を終えて車に戻り、とりあえず“このあと”どうするか聞いてみる。
「ご飯も食べたことだし、どこか行きたいところとかある?」
「んー、特にないかなぁ」
アカリはそう言うと、おもむろに私の手を握った。
「…それじゃ、ホテル行こうか」
アカリの手を握り返し、私は車を発進させた。
※ ※ ※