「えーっと…。名前は、まみちゃんで良かったかな?」
「はっ、はい! そうです」
「どうしてこのお仕事をしようと思ったの?」
「ま、街で声を掛けられまして…。私、田舎から出て来たばっかりで、まだ貯金も少なくて…」
彼女は、ここに来るまでのいきさつを不安そうに話し始めた。
夢を求めて都会に来たはいいが、専門学校に通いながらじゃバイトもろくにできず、生活費が足りないのだという。
まぁ、風俗業界ではよく聞く、実にありきたりな話だ。
「まみちゃん。このお仕事って、なにをするのかは分かってる…よね」
「はい…。スカウトさんに説明されました」
「…男性経験はあるの?」
「え、えっと…。一度だけあります」
うーん…。普段なら落としているところなんだけど、なーんかこう…感じるものがあるというか。
私はこの時、彼女の中に眠る「何か」を感じていた。
その直感を信じ、採用を決めた。
「それじゃあ、とりあえず採用かな」
「あ、ありがとうございます!」
「それで、講習の話なんだけど…」
「実技講習の件ですよね。よろしくお願いします!」
面接中に講習の件を話すと、まみはスグに承諾した。
接客の自信のなさから、自ら受けたいと申し出たのだ。
こうして、面接後、近くのラブホテルに向かうことになった。
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