この業界に入ったきっかけや現在の収入、ライフスタイルなど、まるで面接のように質問し、彼女という人間をどんどん掘り下げていく。
天然である彼女は特に疑問を持つこともなく、ポンポンポンと聞かれたことを包み隠さず話してくれた。
「なるほどね。ツムギちゃんがどんな女の子なのか、すごく良く分かったよ。ありがとう」
「いえいえー。私の方こそ指名してボトルまで卸してもらってありがたいですよぉ」
これだけの情報を聞き出せたのだ、ボトルの1本くらいどうってことはない。
問題は上手く店の面接まで引き込めるかだが…。
「ツムギちゃんさえよければ、一度ウチの店を見にこない?」
「えー、キャバクラですか? 引き抜きはダメですよぉ」
「ちがうちがう。デリヘルなんだけどさ…」
「えっ? でりへる…ってなんですか?」
思わずずっこけそうになる。夜の世界で働いているなら、興味がなくたって耳にしててもおかしくないのだが…。
酒を交えながら仕事の内容を説明してみる。
「男の人のところに行って、エッチなサービスをするってことですねぇ…」
「そうだね。時給に換算すれば最低でも1万円以上だから、今の倍くらいは稼げるよ」
ツムギは少しだけ考えるそぶりを見せ、すぐに私の方に向き直った。
「とりあえずやってみますぅ。エッチなことはそんなに嫌いでもないので」
よっしゃ!!
大きな声とガッツポーズが出そうになるのをこらえ、彼女に笑顔を向ける。
さて、あとは講習の有無だ。上手くいくだろうか。
「ツムギちゃんは初めての風俗だと思うんだけど、そもそも男性経験は豊富な方なのかな?」
「うーん。人数は10人もいませんねぇ。回数はそれなりにしてると思うんですけどぉ…」
「なるほどね。一応、未経験者には講習させてもらってるんだけど大丈夫かな?」
「講習って、練習させてくれるんですかぁ?」
「うん。相手は俺になるんだけど…問題ない?」
「はぁい。大丈夫です」
はい! これもクリア!!
こうして、私とつむぎはアフターと称してホテルで落ち合うことになった。