「風俗は初めてってことだけど、どうして?」
「そうですね…。お金が必要で…ってダメですか?」
「働く理由なんて人それぞれだし、風俗で働く女の子の9割9分はお金のためだから、大丈夫だよ」
彼女は、ほっと胸をなでおろすような表情になった。
容姿が整っているので、何をしても可愛かった。
…
……
「それじゃあ、採用ということで!」
「ありがとうございます!」
「それで、さっきも少し話したけど、今から講習しにホテルに向かいます」
「はい! よろしくお願いします!」
彼女は面接の中で出した講習の話をすんなりと受け入れた。
こんな上玉を講習できるなんて…店長やっててよかった…。
いつの間にか、五月病っぽさは跡形もなく消えていた。
※※※
「ののかちゃんはラブホテルはよく利用するの?」
「人並には利用したことはありますが、数える程度ですね。そこまで利用回数は多くないです」
ソファに腰掛け、まずはそんな世間話を始める。
新人の緊張を解きほぐすための他愛ない会話だったが、ののかには必要なかったようだ。
「まずは入室時からシャワーまでの流れを説明するね」
「はい、お願いします!」
お客様とのやり取りを疑似的に交えながら、一連の流れを説明する。
面接の時点で感じていたが、彼女は真剣な眼差しで仕事の説明を聞いてくれ、非常にまじめな性格だった。
それは、入店後の成長を大いに期待させるものだった。