そうこうしているうちに私の中にある考えが浮かんだ。それは、「彼女は売春婦じゃないのかもしれない」という仮説だ。
思い返せば、勝手に売春婦だと決めつけたのは私の方で、彼女はお金の話など何ひとつしてこなかった。つまり、私は異国の地で美女のナンパに成功したということだろうか。
そんな疑問が頭の中をめぐっている最中も、彼女は屈託のない笑顔を向けてくる。徐々に私は純粋な恋愛の末のアバンチュールだと思うようになっていた。
だが、結局彼女は朝方になって金銭をあっさり請求してきた。その額はべらぼうに高いわけではなく、到着早々遊びに行った高級ソープの数倍という感じだった。一晩なら安いと思うが、何だか複雑な気分になったことを覚えている。まあ、今となっては良い思い出だ。
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