【真面目なカエラの真面目な誘い】
カエラが入店して2カ月。端正なルックスと真面目な仕事ぶりが功を奏したのか、彼女は多くの顧客から人気を得て、売れっ子となっていた。
この2カ月間、私はカエラの管理担当として、接客についてや営業のかけ方、仕事での悩みなんかを頻繁に相談され、親睦は非常に深まっていた。
とはいえ、彼女はもう立派な人気キャスト。他の風俗嬢の様に、手を出した結果、店を辞められるなんてことになれば、大問題だ。
私は彼女を口説きたい気持ちを必死に抑えて、ひとりのスタッフとして振る舞った。
そんなある日、私はカエラから食事の誘いを受け、近くの居酒屋で酒を酌み交わすことになった。
「カエラから飲みの誘いが来るとはびっくりしたよ」
「最近お仕事忙しくて、なかなかお話できなかったじゃないですかー。寂しかったんですから」
「あはは(笑)。指名ランキング3位の子に言われると、素直に嬉しいよ」
「むー。ランキングとかじゃなくて、ちゃんとひとりの女性としては見てくれないんですか?」
唐突な彼女からのアプローチに、思わず息を呑む。
カエラは見た目がチャラチャラしているわりに、あまり冗談を言うタイプではない。
「私、小鉄さんのこと、好きです」
「えーっと…」
「やっぱり、風俗嬢じゃ彼女にはなれませんか?」