【ドレミが入店してから1カ月後…】
彼女のお客様からの評価は、私の予想通りだった。
「顔はすごく可愛いし、スタイルもいいんだけど…なんか適当な感じがするね」
「礼儀がなってなさすぎる! 可愛いけどリピはない!」
どのお客様からも「見た目はいいけど…」という声が挙がった。
その声はドレミ本人にも届いているらしく、そのことを彼女に聞いてみる。
「ドレミちゃん、お仕事には慣れた?」
「あっ、店長! …慣れたっていうか、行き詰ってるというか…」
ドレミは少し話しにくそうに、苦笑いで私の質問に反応した。
「なんかお客さんから、「適当すぎ」って言われちゃうんですよね。そんなつもりないのに…」
「プレイの内容に何か問題あるのかもしれないね」
「でも、それが分かんなんですよ…。あ~こんなことなら、ちゃんと講習受ければ良かったかなぁ…」
ドレミは風俗経験こそなかったが、ウリをしていた期間が長かったため、口頭で仕事の流れを説明するだけで講習はしていなかった。
しかし、ウリなんてほとんどが女性受け身の行為。男性客をもてなすことが仕事である風俗店で、ウリと同じような態度ならクレームが入るのも当然だろう。
「まぁ、ドレミちゃんが望むなら、仕事終わってからでもしてあげるけど…」
と冗談のつもりで投げかける。…すると彼女は、
「えっ、ほんとですか!? やります!」
驚いたようなリアクションで、大きく返事を返してきた。
風俗嬢として売れる要素はないと言ったものの、仕事に対する向上心はあるみたいだ。
だが、普通この状況で講習を頼む人間は珍しい。
彼女の19歳という若さでは、正しい判断を下せなかったのだろう。
私は仕事終わりにドレミに連絡を入れ、合流。軽い食事をすませた後、近くのラブホテルに入った。