【元デリヘル店長の回想録】Hカップ巨乳の魅力に思わず負けてしまった日

【関係を迫ったキャストに初めて拒否される】

「これ以上は、ほんとぉ~に駄目ですよぉ~」


 とろんとした表情ながらも、しっかりとこちらの目を見つめて主張するモミジ。


「ん…ほんとにだめ?」

「ほんとに駄目ですぅ~。おっぱいで我慢してくださいよぉ」

 

 私はスッと、スカートの中へ伸びた手を引っ込めた。


「ごめんね、ちょっと調子に乗っちゃった」

「うふふ~。私もちょっと気持ち良かったので許しまぁ~す」

「…そろそろ受付終了だね。給与清算して車取って来るから待っててね」


 そう言い残し、事務所を出て駐車場へ向かい、ここで私はようやく我に返る。

 自分のあまりの無計画さにため息が止まらない。


「うわぁ…チクられたらどうしようかな…」


 キャストへの口止めを怠り、本能のままに行動してしまった自分の軽率さを恨む。

 どんな取り繕いをして彼女の口止めをしようか考えながら事務所の前まで車を回す。

 私はモミジを携帯で呼び出し、車に乗せて自宅周辺まで向かった。


「モミジ、今日のことだけどさ…」

「誰にも言いません~大丈夫ですよぉ。私も彼氏がいる身で風俗してること黙ってもらってるわけですからぁ~」

「そっか、ありがとね」

「あぁ、でも、おっぱい触るくらいならいつでも歓迎ですよぉ~(笑)」


 体の関係は断られたものの、彼女の性格のおかげでなんとか首の皮一枚つながった。

 それ以来、できる限り関わらない様にしていたのだが、1カ月ほど経ったある日、彼女は突然店から姿を消した。

 辞める際の連絡も何もなく、結局そのままどこへ行ったのかもわからないまま。

 私にとってモミジは、長い風俗業界人生の中で唯一肉体関係を断られた、思い出深い女性となった。
(文=小鉄)

【元デリヘル店長の回想録】バックナンバー
第1回:別段可愛くもないけど、やたらと本指名を取れるキャストの特徴と仕事に対しての考え方
第2回:「さっきの客、マジでキモかった」と言い放つ傍若無人なキャストに教わったこと
第3回:貴方は騙されてない? 風俗スタッフの巧みな接客テクニック
第4回:押しに弱そうな風俗嬢を本当に押し倒した話
第5回:理性が吹っ飛び、モデル系22歳の若妻と関係を持ってしまった話
第6回:風俗嬢たちの狂った金銭感覚
第7回:各風俗店のNo.1キャストが一堂に会するイベントで分かった人気嬢の共通点
第8回:実技講習でそのままキャストを頂いてしまった話
第9回:「だからお前はダメなんだ!」売れない風俗嬢たちの共通点

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