「あっ…」と漏れ出す様な声を出すサクラコは、恍惚の表情を浮かべているように見えた。
腰を動かすその度に「んっ、んっ」と吐息と一緒に喘ぐ声が室内に響く。
しばらくすると、溶ける様な表情で彼女は
「もっと激しくして欲しい…」
と絞り出すような声で私に懇願してきた。
その言葉に応える様に腰の動きを激しくすると、サクラコは大きな声で快感を表現する。
「あぁっ! それっ、すごいです…!! も…ダメッ…!」
ビクッと体を大きく震わせて、膣内がピクピクと痙攣する。
はぁはぁ、と息を荒げながらベットシーツを握りしめている彼女を見る限り、イッたのは間違いないだろう。
「まだ俺はイッてないよ?」
「あぁ…はいぃ…」
恥ずかしそうにしながらも嬉しそうな彼女の顔。
それから自分の中の欲望をすべて放出するまで、私は何度も何度も腰を振り続けたのだった。
【風俗嬢とのセフレ関係は長く続かない】
結局、サクラコが風俗から足を洗う半年間までの間、従業員とキャストという関係でありながら、セフレとして何度も肌を重ね合わせた。
とは言っても、私はその間にも他のキャストをつまみ食いしていたわけだが、サクラコはそんなことを知る由もない。
だが、風俗を卒業してからはパタリと連絡が途絶える様になった。
最後に交わした連絡は
「今までありがとうございました! 地元に帰って生活することにしました」
というものだった。
風俗嬢として働いていた女性の多くは、新生活を始めるにあたって風俗で働いていたことを知る人物との縁を切る傾向にある。彼女もそういった風俗嬢のひとりだったということだ。
私は携帯電話に目を落とし、画面に映る「サクラコ」の連絡先を削除した。
なに、悔やむことはない。また新しく別の女と関係を持てばいいだけのことなのだから。(文=小鉄)
【元デリヘル店長の回想録】バックナンバー
第1回:別段可愛くもないけど、やたらと本指名を取れるキャストの特徴と仕事に対しての考え方
第2回:「さっきの客、マジでキモかった」と言い放つ傍若無人なキャストに教わったこと
第3回:貴方は騙されてない? 風俗スタッフの巧みな接客テクニック