それからたどたどしい会話を交わすと、彼女も僕と同じ新入社員だとわかった。さらに彼女の出身地が僕と同じだと判明。これで一気に打ちとけ、僕らはお互いの花見が始まるまで楽しい時間を過ごした。
ここまでは爽やかな感じだが、それぞれの花見が終わりに近づいたころに事件は起こった。酔っ払った彼女が、いきなり僕のところにやってきて、
「この人が彼氏で~す!」
と叫んだのだ。
どうやら、会社の人にしつこく迫られたようで、それを交わすために「彼氏がいる」とウソをつき、調子に乗って「近くにいる」と言ったみたい。この説明を彼女の同僚に聞いた僕は「違います」とも言えず、彼氏のフリをすることになった。
しかも、彼女はかなりの酒飲みで、なぜか僕に酒をガンガンすすめてくる。このとき彼女がボディタッチしまくってくるので、ウソ彼氏とはいえイケそうな気がした。
だが、やがて彼女はグロッキー状態に。すると彼女の同僚が、「じゃあよろしく」と僕に彼女を任せてとっとと帰ってしまった。なんだか面倒なことになったと思ったが、彼女が可愛いので「ま、いっか」とタクシーに乗り込んだ。