【元デリヘル店長の回想録】「さっきの客、マジでキモかった」と言い放つ傍若無人なキャストに教わったこと

【ルルの本指名客はお金持ちばかり】

 彼女を指名し続ける顧客は、月に30万近くを風俗に使う様な太客の割合が異常に多かった。

 しかも、自分から営業電話をかけては、「いま暇? いまから行くわ!」と、まるで友達の家に遊びに行く様な感覚で仕事を取って来る。

 普通は“お店を利用して欲しい”とお願いするものであるはずの、『営業』という概念をぶち壊していた。

 自分勝手に顧客のところへ向かうという半ば押し売りの様な営業で、彼女は本指名を獲り続けていたのである。

 その反面、新規の顧客にはそんなワガママな素振りは一切見せなかった。

 敬語を使い、気の使える風俗嬢として振る舞っていたのだ。

 普通であれば、そういった接客の仕方を続けて本指名を増やしていくのだが、彼女はその顧客が常連の本指名になったあたりで態度が変わっていく。

 一番分からないのは、そんな態度を取られてもルルを指名し続ける顧客の気持ちだ。

 初めの彼女の接客を受けて、もう一度指名しようと考えるのであれば、その後の態度が変わっていくルルに幻滅したりしないのだろうか。

 気になった私は、ルルの本指名客である一人の男性に話を聞いた。

 

「ルルちゃんって、すごくワガママじゃないですか?」

本指名さん「そうだね(笑)。いきなり電話してきて、今から行くわ! とかヤバいよね(笑)」

「そうですよね、いつもすみません…。それなのに、なぜ彼女を指名し続けてるんですか?」

本指名さん「うーん…なんか裏表のない感じが好きだからかなぁ」

「裏表…ですか?」

本指名さん「そうそう。自分で言うのもなんだけど、俺みたいにお金持ってる人には普通媚び売るよね(笑)。その感じがルルちゃんにはないんだよ」

「媚びというより押し売りに近いですもんね(笑)」

本指名さん「ほんとにね(笑)。でも、ちゃんと接客もしてくれるし、なんか気持ちが真っ直ぐな子だから応援したくなっちゃうんだよね」

「自然体が魅力的である、っていうことですかね?」

本指名さん「そうだね、たぶん俺以外の本指名客の人たちも同じ感覚で指名してるんだと思うよ」

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